休日気分

焼津さかなセンター(yaizu-chintai.com



習慣は恐ろしいもので、ぐだぐだで明け方に寝たというのに、仕事に行く時と同じ時間にパッチリ目が覚める。
目の疲れと肩こりがひどいので、ひとまず熱いお湯に浸かって身体を緩めることにする。


一息ついてぼんやりしていると携帯が鳴った。
チームメイトからだった。
今日の出番は私以外もことごとく午後かららしく、こんなことは珍しいから、ちょっと昼過ぎまで観光にでも行かないか、というお誘いだった。
もうこの街に来るのは10回以上になるが、試合会場と宿のほかは途中の共同浴場くらいしか行ったことがなかった。


2台で焼津さかなセンターに行く。
観光市場、といった様相だが、そもそも「市場」が滅多に遭遇しない「異所」になっていて、すっかり客として不慣れになっている。
声を掛けられて、にこにこしながらもどぎまぎと落ち着かない感じでうろうろする。
魚屋ばかりが一箇所に集中しているわけで、全体としては(私たちのような客でさえ来てしまうくらい)「集客」には大きなメリットがあるけれど、一つ一つの店は常時過当競争に晒されて、相当大変なのだろうなあと思った。
マグロの切り身など、共通する品もある一方、いろいろに産地や加工の具合、力を入れている魚の種類に違いがあって、その工夫の具合が、全くの素人の私にもなんとなくはわかる。


まだもう1泊してからさらに遠路西へ帰らねばならず、車内は走行している時を除いては灼熱地獄になることがわかっているので、今回は買うことはできなかった。
港のそばの、地のすし屋で昼食を摂って試合会場に向かった。


試合は4時過ぎ始まりの「夜の部」。
完全屋内の射場は、さんざん一日中照りつけた太陽の熱をしっかり吸い込んで、今年も相当な暑さだった。
そのせいだけではないのだが、立射の途中から失速し、長らく撃ったことのない82なんか出してしまった。静止レベル自体が著しく低い、というわけではないのだが、次の瞬間に崩れるかもしれない、と思わせるような、なんとも弱弱しいバランスになっている。
膝射は、何とか盛り返したかったのだが、まずまずで滑り出したものの、シリーズを重ねるごと1点ずつ下がる、という絵に描いたような緩やかな尻つぼみで終わる。


明日も競技を残している若手の後輩、H田くんとふたり、旅館にすごすごと帰った。
疲れと落胆はあったものの、今日の宿は若手をたくさん抱えて元気いっぱいの、同じ地元のチームが一緒で、何となく落ち込んでいるのを忘れてしまった。
晩御飯につきあってくださったK見さんと、いろいろ話して気分転換する。


たくさんの人が、様々に同じスポーツを楽しんでいる姿を見て、元気をもらえるのがこの大会の醍醐味だ。
今年などは選手として準備不足もはなはだしい状況だが、休日気分も味わいつつ、射撃に取り組む気持ちをリフレッシュさせてもらっている。


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