OB総会と後輩の指導


母校のクラブのOB総会があった。
今年は(ちょっと実際よりは遅れたけれど)創部40周年とOB会30周年を記念する総会、ということで大学構内の料理店が会場になった。
新調した部旗の贈呈がその「記念」らしい趣向である。


学校のシンボルでもある時計台は外見をそのままに改修改築された、と聞いてはいた。今回久しぶりに行ってみて驚いた。後ろ側は全く別の建物である。
大きくガラス張りの建造物が張り出し、レストランとカフェがその中を占めている。地下はオープンな構造になっていて旅行カウンターや銀行のATMが並ぶ。
私が学生だった当時、円形教室の入り口の他は、地下の生協への階段やバックヤード・コピーサービスでごちゃごちゃしていた。自転車がまばらに並ぶ向こう側に、のどかな植え込みと池があるばかりだったものだ。


中の様子はさらに大きく変わっていた。無料で入れる記念館、グッズの販売店、フレンチレストランにカフェ。外光がうまく取り入れられ、通路もトイレもぴかぴかである。
おおよそすべてが薄汚れて不潔、という建物ばかりの中で、学生が普通には出入りする理由がないだけに他よりは少しまし、といった印象ではあったが、ただ事務系の部屋が並ぶばかりの薄暗い建物だった。


そんな観察をしている暇があったらすぐ入ればよかったのに、見渡してから入ったためにもう総会は始まっていた。
テーブル端の「お誕生席」しか空いておらず、仕方なくOBの歴々の前でそこに小さくなって座った。
記念総会と銘打ったことが少しは効果を発揮したようで例年よりも5名ほど多い出席者だった。


淡々と議事は進み、おいしく料理もいただいた。
OB会長が15年ぶりに交代する、ということのほかは特筆する成績があるでもなかったが、最後に新しい部旗を贈呈して記念撮影すると、賑々しい気分になって気持ちよく会は終わった。


その後、出席者のほとんどと射場に足を運んだ。
部のミーティングがちょうど終わった時間帯で、たくさんの部員がいた。練習用の5射座はすべて埋まっている。
一通り射場などを見終えてOBが帰られた後、H君と私だけが残って各選手を観察して助言する。


戦力的には昨年のごたごたが原因とも結果ともいえる有様で、見るべきところのないチームになっている。
しかし、期待できる新戦力の芽はあって、それを見るのが今回の楽しみであった。
取り組みの姿勢が非常によいが基本ができていない者、完成度が高くより上を目指せる力がすでに備わりながら取り組みが甘い者。
たくさんの選手を見ざるをえなかった3月を経て、なんだか射手の見え方が変わってきているように感じた。


期待にたがわないことだけはわかったので、できる範囲で助言をして楽しみに待つことにする。


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