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今日は、朝にチェックアウトを済ませ、荷物を持って会議室に集合。3時間の講義で今回の合宿は終了である。
試合をテーマにおいて、おもに緊張など心理の話と、試合前から試合終了までの間の経過に沿って、どんな風に過ごしているか、感じているかを一緒に考えた。
話だけで3時間は大変だな、と身構えていたが、あっという間に半分が過ぎて休憩に。最後のテーマとして「『スポーツ』として射撃に臨む」という内容を慌しく話すと、ワークシートに書かれた質問に答える時間くらいしか残らなかった。
「射撃」との関わり方として、高校の射撃部というのはちょっと「特別」で、これからそれぞれに関わり方がどんどん変わっていくだろう、ということを最後に話し、これから(たとえ撃たなくなることがあっても)ずっと射撃スポーツの「サポーター」であり続けてほしい、というお願いをして、3日間の講義を終えた。


12時過ぎに講義を終えると挨拶もそこそこに別れを告げ、お世話になったH先生に車で駅まで送ってもらった。
13時5分には私の乗った新幹線は広島を発ち、次の学生連盟選手強化合宿に向かっていた。


大学生たちの選手強化合宿は、新4回生が就職活動の只中になっている関係で、選手や役員の一部を欠いているが、8選手で昨日から埼玉県長瀞でスタートしている。
各選手の状態を、メールで返信させるアンケートで大まかには把握を試みたが、その文面は、いまひとつ大学のトップ選手集団、という感じはしなくて、私の中の「気高い名門大学射撃部のエリート射手」達という畏れを伴ったイメージとはうまく像を結ばない。
私の話なんか聞いてくれるのか、聞いてくれたとして2日で何ができるのか、車中でぼんやりと考えた。


調べたとおりに列車は走ったが、広島から長瀞は遠い。昼食は広島駅で買った駅弁を新幹線の中で食べ、夕食は(宿のは間に合わないため)熊谷駅の15分の乗り継ぎの間に、店で3つのパンとコーヒーを流し込んだ。
19時15分に長瀞駅に到着。急遽合宿の進行を負かされたB君と、選手の一人P君が迎えに来てくれていた。二人にこの2日の様子を聞きながら宿まで歩き、着くとすぐ、19時30分にはミーティングを開始した。


自己紹介と翌日からの予定だけ伝えて、ミーティングは終わり、その後各選手に書いておいてもらった練習記録をもとに「雑談」して、いろいろなことを聞き取った。
今日まで3日間相手にしてきた高校生たちよりも、さらにいくつかハードルを越えて来ていて才能も努力する力もあることが伺えたが、高校生たち相手にやってきたことが、大学の選抜チームの彼らにも同様に必要であり、求めてもいることがわかった。


何とかなりそうかな、と思いながらも疲れでぐったりして眠った。


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