バッテリー交換


突然ソニーから電話がかかってきた。
VAIOのバッテリーで発火事故が起こったために、登録ユーザにおわびとバッテリー交換プログラムの案内をしている、という。
VAIOは相方が独身時代に買ったものだが、最近はすっかり私が愛用している。


聞くと、登録ユーザ全員に電話してそれぞれ製造番号を照合し、該当ロットの人には無料でバッテリー交換を勧めているのだという。宅配業者が現在のバッテリーと新品を玄関先で引き換えるのだそうだ。
バッテリーと本体の製造番号を伝えると、電話の向こうで照合作業している様子が聞こえる。
程なく、対象となるロットだとわかった。


発火事故はあってはならないことである。火事などに結びつく恐れもある。
しかしその一方で、メーカー側がさらされている、激しい価格競争下で新しく高性能の製品を出すうちに、必死で避けても現れる「不良品」によって「社会的制裁」を受ける「リスク」の方にも、思いはおよぶ。
自らの非を引き受けて「誠意ある対応」をするのは「当然」ではあるが、その内実はなかなか大変であることを実感した。


よどみなくスムーズにやり取りは進んだが、説明と照合で25分くらいはかかった。すでに夜も相当に遅い。無償交換するバッテリーや宅配業者手配の費用もさることながら、膨大なユーザに対して1軒1軒対応を進める担当者の労には、素直に頭が下がる。


2日後に新しいバッテリーがやってくることになった。
その日だけはVAIOを家において出かけることにする。


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