全日本選手権(10m)


昨日が「全日本選手権」、今日が「海外派遣選手選考会」と、実質的には10m種目のダブルマッチが能勢射撃場で行われた。


試合の格から言うと、初日の全日本選手権は国内最高峰で、これまで2位はあるが優勝のない私にとって「優勝したい」大事な大会である。
が、結果から言うと、584と590にも大きく届かず、9位と振るわなかった。


練習の方は相変わらずの「実験状態」であるが、それはランクリストの成績の経緯からみれば直接の原因ではない。
試合に臨むコンディションがコントロールできなかったことが、まずもっとも思い当たる。


これまで、土日で開催されるランクリストでも、避けてきたのが「土曜日の朝」である。土曜なら昼から、日曜なら朝から、というエントリー方法でやってきた。あらためて説明するまでもないが、金曜の夜まで全力で仕事をやった後の土曜日の朝、というのは、精神的にも肉体的にも1週間分の疲れでとても状態が悪い。少しペースを変えて「切り替える」作業をしないと、なかなか「平日と違う」モード(たとえば射撃)にうまく入れないのである。


「仕事との両立」という点では、経験年数が少ない方ではないので、いろいろやってみているのだが、どうもまだダメである。
「朝の迎え方」でリフレッシュする、というのが一番やりやすい(時間的には半日もいらないので、「昼から」ならある程度大丈夫である)。
いつも通りの帰宅ながら、前夜のうちに相方の実家まで移動しておいて、夜は少し犠牲にしても朝に少しでも余裕を…、と私なりに工夫はしてみたのだが・・・。どうにも体は重くて鈍く、気持ちも平日の仕事のモードと射撃に向けたモードが混在した、集中しきれない状態のままずるずるといってしまった。


もうひとつは、いつまでも上手くならない「銃器検査」の受け方だろうか。早めに、動揺や疲れなく終わらせてしまうことができず、プレパレーションぎりぎりまで準備がずれ込んでしまった。


「大事な試合」という気持ちの上での特殊性も、もちろん多少はあっただろう。協会の歴々や倒したいと思うライバルたちがずらっと目の前に並べば、気合は自ずと入る。
正面から「試合特有」のプレッシャーを感じ取ったり、乗り越えたりする以前に、それ以外の問題でうやむやと力を出せずに終わるのは大変悔しいことである。


今日の、海外派遣選手選考会は、「土曜日の朝」でもなく、「銃器検査」もすでに済んで、ない。
すると、やはり大きな問題は生じず590点(4位)であった。
こんな形で確かめても…とは思うが、「まだ595以上をさっと出してみせるには準備が出来ていない」ということと、「この1月から2月に身につけたことはやはり有効で、底が上がっていることは間違いがない」というのはわかった。
さらには、(これはおまけのようにわかったのだが)今回身についた技術がファイナルに大変有効なこともわかった。
これまでファイナルは得意とはいえなかったが、緊張しながらも一貫して技術がコントロールされて、初弾の9.4を除いてすべて10点以上という内容は、かなり満足できるものだった。


緊張はどうしたってしてしまう。その状況下では、脳に「対応できる情報」と「対応しきれない情報」がはっきりと分かれてくるようだ。
「対応しきれない」情報を一生懸命に指令してもダメなので、思い切って「できる」情報だけに絞ってがんばってみよう、というのが今回とった作戦の「意味」だったようである(これは振り返って分析してみてはじめてわかったことだが)。
自分のしたことながら、なるほどなあ、と感心した。


…以上が今回の反省である。
「上手くいかなかった理由」を振り返ることは、成功体験よりも貴重で、大きな糧だが、公表すればすべて「言い訳」。なかなか扱いが難しい。
何はともあれ、今年のインドアシーズンはこれにて終了である。
この後のオープンエアシーズンは、50mで「答え合わせ」を楽しみながら、勝負と技術開拓は10mを中心に続けようと思っている。


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