Noptel


射撃の指導や機材の紹介を名目に関西大学の射撃場に招かれて行ってきた。
前回は、施設自体に感心してすっかり終わってしまったが、今日は弾薬のテストに使うクランプ台を試用したり、K見さんと私が持ち込んだシューティングアナライザー「Noptel」を実際にデモンストレーションして紹介したりした。


銃身側には赤外線の発光機と受光機のついたユニット、標的側には反射板、をそれぞれセットして、実際に構えて空撃ちをする。受光機が受け取った情報を、RS232Cを介して接続したPCでリアルタイムに解析して、銃口の動きを表示・分析する、というのが、この北欧フィンランド製アナライザーの仕組みである。
今でも、「最新」と言える機材であるが、もう世に出て10年以上が過ぎ、分析に使っているPCやインターフェースはちょっとした懐かしさを感じさせる。私のNoptelはWindows95のノートPC上で、ダイレクトにMS-DOSが制御するプログラムが走って動いている。必要なデータはこれで十分に集まっているし、動作も非常に安定しているので変える予定はない。


視覚情報によるフィードバックを、より精細・明確・客観的に行うことができ、「撃つことなしに、撃つ以上の練習ができる」システムである。「風」と「反動」に関する練習を除けば、弾を使わずに十分な練習ができる。これだけの機材がありながら、なかなか活かせていない。大枚をはたいたくせに、買ってしまうと安心してあまり使わない、というのは私の悪い癖だ。


「紹介」の部分はそこそこに、久しぶりに持ち出したアナライザーでの練習に没頭する。
よく使っていたころに比べて、据銃力がものすごくついていることが明瞭にわかって驚いた。練習を進めるにつれ、試合の中盤以降に現れる特有の失点パターンが、はっきりとわかる軌跡の形状として出ていることがわかった。「かすかな違和感」が感じ取れるようになってこそ、こういう機材の価値が高まってくる、ということをあらためて理解した。


優れた機材があっても、自分の感覚に引っ掛かりが少ないと、出てきたデータがただのデータのままに終わってしまう。
以前の私は、見えない動きを、機材の力で見せてもらう、という次元でしか使えていなかった(それでも収穫はとても大きかったのだが)。
今なら、さらに踏み込んだ使い方ができそうである。
手間を惜しまずに、ふたたびしっかり使っていかなくては、と反省した。


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