ひさしぶりのジャズ


普段、電車で通勤しているのだが、美術科の先生に道具の搬入を頼まれた関係でめずらしく車で職場に出かけた。
こんな時にこそ、と音楽をかけてみる。


家のラジカセで流す以外に、車のステレオで聴いたり、イヤフォンで聴いたりするが、聴き方はいつもいい加減だ。自分の状態に合わせて何を聴くかは考えるけれど、流れてしまえば、実に適当に聴いている。
音楽をしっかり聴けそうなツールであるイヤフォンは、どうも苦手で、すぐ首や頭が疲れてしまう。かといってスピーカーは、周りが気になって大きな音を出せない。音楽だけに集中する機会はほとんどないから、基本的にはBGMとして小さい音量でばかり聴いている。Inflated Tear5 By Monk By 5 (Hybr)


一人の時のクルマはちょっとした例外かもしれない。
今日は、久しぶりに、しかし初めてシャッフルして聴いたたくさんのジャズがとても良くてびっくりした。


i-Podを使うようになってちょうど1年くらいになるが、家のCDをわざわざPCに取り込むのは面倒に感じられることもあって、もともとあるものほど意外に聴いていない。先の週末、入れたら聴けるんじゃないか、とJazzのCDばかり少しまとめて放り込んだところだった。
今まで何を聴いてたんだろう、という感じ。立体的にしかも一音一音が飛び込んでくるように聴こえる。今まで聞き流していた音たちに次々驚いた。
別にオーディオがいいわけではない。10年目の軽自動車の標準的なセットのカセットにクロストークを突っ込んでそれがi-Podに繋がっているだけだ。
Soul StationIntroducing Johnny Griffin


たとえば…、セロニアス・モンクの「5 by MONK by 5」の曲だなあ、とピアノに耳を澄ませようとしたら、トランペットの音が圧倒的な存在感で響いているのにびっくりしたり(家でアルバムを確かめたらThad Jonesの(トランペットではなく)コルネットだった)、テナーサックスの出てくる曲がたまたま続いて、「あ、これはローランド・カークだ」、「これはジョニー・グリフィンだ」とやっていたら、突然始まったハンク・モブレーの音は、同じ楽器とは思えないほど奥行きがあって温かくて愕然としてしまったり…。1時間あまりの運転は、なんだかあっという間だった。


何故急にそんなによく聴こえたのか、さっぱりわからないが、次にこうやって聞く機会が今から待ち遠しい。


[fin]