深夜を走る


ついこの間まで暑い、と言っていたような気がするのに、朝晩はずいぶん冷えるようになり、昨日からはついに防寒具を来て出勤するようになった。


昨晩、ご飯も片付けがすんで、疲れているし風呂に入って早目に寝るか、と思った矢先、相方が
「どうしよう、出血してる」
と不安げに言う。
本人が自分で病院に電話して相談した結果、
「行くか」
ということになった。


夜中の国道に、渋滞はさすがになく、普段なら使うことをためらう「正統」なルートをスイスイと1時間。12時前に着いた。
夜間入口付近は、日中にぎやかな入口ロビーが闇に沈んで「深夜の病院」といった感じだったが、案内されてフロアを上がると、スタッフが立ち働いていて、明るいときと変わらない様子だった。
相方は、快く診察に応じてもらい、その後、病室のベッドでセンサーを着けてしばらく安静に横たわる。
ベッドサイドの椅子で時折眠気に負けながら待つ。入院になることもあるかもしれないなあ、と思いながらセンサーが拾い上げる胎児の心音を聞いていた。胎児が動くとセンサーからの距離が変わるためか、時々リズムや音が変化しながら、それでも淡々と拍音が続く。


30分はそうしていただろうか、その後気になる「張り」は起こらず、別室でモニタしていた先生からも、切迫した問題はなさそうだ、という診断をしてもらった。
時間に関わらず、いつもごく当たり前に診てもらえるのは本当にありがたい。持ちかけられるいろいろな不安に、常に応えなければならない大変な仕事である。


ほっとしながら、ふたり車に乗り込んで、真夜中の街を家まで帰った。


すぐ寝支度して眠りについたが、今日は一日ちょっと眠いかもしれない。


[fin]