紙に撃つ

紙標的



使用料の高騰で、ホームグラウンドにはなかなか足が向かないでいたところ、友人の杉やんと隣県の射撃場に一緒に練習にいこう、という話がまとまった。


久々に、朝から準備してして射場に向かう。
渋滞のおそれはあるが、家からの距離はホームグラウンドより近いかも知れない。
幾度か出かけたことはあるものの、まだ慣れない田舎道を走り抜けて、ほぼ約束通りの時間に到着した。


ここはいつ行っても高校生が熱心に練習しており、管理人さんはビジターにも温かく接してくださる。


ここのところ50mは練習にしろ試合にしろ、電子標的のところでばかり撃ってきたので、紙の標的とスコープはとても新鮮だ。手間はかかるが、やっぱりいい。
ごそごそとスタンドを組み立てたり、治痕シールを貼ったり、交換機に標的をセットしたりする間に、自然と50m射撃を始めた頃の気持ちや、様々な練習場面の記憶がよみがえる。


朝早くから射撃場はたくさんの人たちでにぎわっており、その中には、ここならではの久々の対面もあったが、いつもならホームグラウンドで会うはずの人々の姿も、たくさんあった。
杉やんとの練習は本当に久しぶりだったが、昨日も一緒にしていたかのように、自然に標的に向かうことができた。今日は、杉やんの人生の節目にも図らずも立ち会うこととなり、感慨深いものがあった。


撃ってはスコープを覗き、標的に空いた穴で、パフォーマンスを振り返る。
このなんともいえない素朴な確かさに「原点」を感じる。
練習方法にも、技術面にも収穫を得て、楽しく練習を終えた。


しばらく、ここに通うことになりそうである。


[fin]