最後の月例会

最後の月例会



今年は、試合の日程が偏り気味な上に、国体出場を逃したために、10月に大会がない、という異例の年になった。


そんな秋。先週末の9月末日、国体の裏で臨時の月例会が開かれた。ここしばらく、地方ブロック規模の試合は参加者が減少傾向だが、この日は、たかだか一府県の記録会なのに、最近なかなか顔を見せなかった人達も姿を見せて、大盛況になった。
その光景に、少し感傷的な気分になる。地元の射撃好きが、ただ撃ちに集まる、そんな当たり前のようなこの光景は、これで最後になるかもしれない…。


町営である射撃場は、町が財政改革を進める中で、赤字施設の一つとして、閉鎖や業務委託を進める対象となった。本当に赤字にしかならないのかを、町が確かめるために、10月からは、あずけていた運営権を一旦射撃協会から取り上げて、町が直接半年運営してみることになった。その結果によって、その後の運営方法が検討される。中長期的には、閉鎖する可能性と隣り合わせの日々が続く。


ひとまず行われる「町の直接運営」方法は、示された使用料がちょっと高すぎるため、事実上の閉鎖と受け取らざるをえない射手が多い。たくさんの仲間が、楽しみで撃ちに集まることはなくなってゆくだろう。
射撃時間に関わらず、午前3000円、午後4000円。正午を挟んで撃ってしまうと7000円…。あらゆる練習が、「射撃場以外」では決して出来ない射撃スポーツにとって、練習場のこの高額な使用料はあまりに痛い。


たとえ半年とはいえ(しかも半年後にどんな運営方法になるかも今は白紙だ)射撃をするための組織を、射撃から引き離しているあいだに、本当に大切にしなければならない人々が射撃から離れてしまい、組織が錆び付いてしまうのではないかと、とても心配だ。
学生連盟で射撃を始めた選手たちの中には、経済的な理由だけで練習を続けられなくなる者が出るだろう。最も必要で最もしたい時期に練習を控えざるを得ず、成績の不振をを才能の限界と思いこんであきらめてしまう者も出るだろう。これから潜在的に失われていく人材は少なくないと思われる。高齢になっても一生懸命続けてきた人達からも、この間に辞めてしまう人が少なからず出てきてしまうにちがいない…。


そんな憂いをよそに、最後の月例会はにぎやかに進んでいった。


大変お世話になった前の理事長に「今回はなにがなんでも三姿勢120発競技をやりたいんや、一緒にやらんか」と誘われて、そんな予定をしていた人はそうはいなかったはずだが、「それならば」と応える者5―6名。ハンデをつけて「真剣勝負やで」と、標的に向かう。3時間あまり、射撃好きたちが一心に、ただ撃つことを楽しんだ。


先行き不透明なままに、実質的に一旦この「場」は閉じられる。
ごく近い将来に、必ずまた、こういう「場」が開かれることを切に願っている。


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