TS-31からW51Kへ

新旧二機



携帯電話の端末と会社を変えた。先月のことである。
前の端末が5年弱。それが初めての携帯で、これが2台目だ。
別に端末にもサービスにも不満はなかったが、会社が今年度いっぱいでなくなってしまう、というのでしかたなく換えたのだ。


もともと携帯電話を持つことには冷淡で、周囲からあきれられたり、不便がられたりしながら、長く携帯を持つことを拒んできた。
日常において接近戦に弱く、他人軸で動きがちな自分は、この小さいくせに強力な電波を出す機械を持てば、監視されたり、鎖で繋がれたりしているように感じそうで、嫌悪感があったのだ。


電子メールは、MIFESでメール本文を編集してから、Tera Termでtelnet接続・転送する時代から使っていて、ニフティサーブの「パソコン通信」時代も覚えがある。
直接電話で話すのではなく、相手の時間を邪魔せずに控えめにコミュニケートするツールに、一足先に味をしめていて、敢えて携帯を持つ動機が弱かった、ということもあったろう。


5年ぶりに2台目の携帯端末を手にして、ああこりゃすごいことになってるな、と戦慄を覚えた。
もう特段機種を選んだりしなくても、ほとんどすべてのケータイが「電話機」を脱して「電話つきネット端末」になっているのね・・・。


この1月、私が使っているのは、ワンセグやアプリ以外の、1台目にもあった相変わらずの機能ばかりなのだが、少し性能が上がっただけで全く違うツールになってしまった。


ひとつは、ブロードバンド化したことで、情報を取り出すツールとしてWEBを自然に使えるようになっていること。以前は接続だけで時間がかかり、不安定で、おまけ的な機能としか思えなかったが、今や必要な情報があるときはごく気軽に使うようになった。
もうひとつは、ホントに些細に見えるけれど、キータッチと文字変換が快適になったことだ。


変換は、端末のメーカーが変わったこともあって、方法が微妙に変わり、初め少し戸惑ったが、すぐに慣れた。
文字種を越えた多様な変換候補と、幅広い予測変換が、5年を経て、より使いやすくなっている。
また、キータッチが軽く、親指にうまくかかる形状になって、長文を打つのが苦痛でなくなった。
キーボードみたいにはいかないが、テキストエディタとして耐える水準になった。


車内は、割合まとまって気楽な時間があるのだが、本とはちがい、PCは開くのに抵抗がある。
仕事でない文章は、書きたい気持ちがあっても、帰ってからは少し億劫だし、書き出せば寝不足を心配しつつも、うまく切り上げられない悩みがある。


細々ながら、こうした雑感の覚え書きを再開できたのは、今回の機種変更の恩恵ゆえである。


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