温泉旅行

豪華なばんごはん



相方と「湯の山温泉」へ。
車も特急も使わず、在来の電車を乗り継いでゆく。
車内では、本を読む。
終着駅は温泉の町。旅館の迎えの車に乗って宿へ。
壽亭は明治創業の老舗。
入り口までに緑深い庭があり、しっとりとぬれた砂利と石畳が迎えてくれる。
ついついいろいろ予定を入れる二人も、今回は宿で過ごし、なあんにもしない。
夕方に湯につかり、部屋でゆっくり料理に舌鼓を打つ。
夜、露天風呂に入りなおす。空を見上げると、かすかに光の濃淡がわかる。天の川だ。


・・・実はPCも仕事のデータも持ってきてしまっている。
終わらせておきたいと思いながら、一向に進んでいない仕事が、心に影を落とす。


今日できることは、しっかりゆるめて休むこと。
逃避なのか決断なのか、よくわからないけれど。
普段考えないことに頭を使って、さびを落とす。
ちょっと射程の長いことに。取り繕ったり整えたりするのでなく、本当に考えることに。


そんなひと時に、ふと「いったい何に疲れてきたのか」と、仕事や雑用で思い通りに運ばない日々の苦しみが、特殊な世界の矮小な諍いに思える瞬間がある。


[fin]