不慣れな


昨日、相方と婚約の品を用意するために百貨店巡りをした。


百貨店で買い物すること自体に、どうもまだ「場違い」な感じを持ってしまうような世慣れない者が、いきなり「高級腕時計」や「宝飾品」を買いに行くとなると、これはもう何というか、終始地面から数センチ浮き上がっているような、落ち着かない心地なのだ。


すでに一度相方が母親と足を運んでおいてくれた大丸の時計コーナーで、「落ち着かない心地」ながらも、気になっていた腕時計はすべて出してもらって、ゆっくり説明も聞き、しかし結果的には即断を下して、たっぷり見えない汗をかいた後は、近鉄TIFFANYへ。生まれて初めて足を踏み入れ、生まれて初めて指輪を選ぶ。自分の指に通すのももちろん初めて。あきれられるのではないかと思うほど、何度もサイズ違いのリングを通し直し(きつすぎるように感じたり、ゆるゆるに感じたり、いままでしたことのないものについて「ぴったりのサイズ」を選ぶというのは、ほんとによくわからないことなのだ)、あるサイズとあるサイズの中間がいいのではないかということを確かめ、エンゲージもマリッジもどれにするかを決めて帰ってきた。


すっかり舞い上がって、訳がわからなくなってもおかしくなかったのに、そこそこ踏みとどまって、考えることができたのは、息の合う相方と二人だったことと、大丸のW氏とTIFFANYのNさんの上手な接客のおかげだったろうと思う。


気になっていた「初体験」の一仕事が無事、とってもうまく運んで、ほっと一息ついた。
…腕時計、うれしいな。ありがとうございます。


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