式典


今回は「兵庫国体」なのであるが、ライフル射撃競技は県内に施設がなく近隣の大阪府能勢町で行われ、宿舎は能勢町にも確保できずそのまた近隣の京都府亀岡市に確保された。
そんなわけで「ありがとう、心から、ひょうごから」というテーマのもと、京都から大阪の会場に日々向かう、というちょっとへんてこりんな国体なのだ。


その中で、今日は唯一兵庫県内に足を踏み入れる「総合開会式」だった。
大会本部が仕立てたバスに乗り込み、神戸ユニバ競技場を目指す。


現地では一般的には会場のサブグラウンドに集められて、所在なく弁当を食べ、終わったら周辺で大会グッズを買い物する、というのがパターンなのだが、今年は選手向けにスカイマークスタジアムが別に用意され、「おもてなしプログラム」というもので歓待をしてもらうことができた。これはとってもうれしかった(高砂女子高校のジャズ演奏は見事だったし、アカペラグループPIRONSの歌も関学チアリーダーの演技も、安床兄弟のスケートパフォーマンスもすばらしかった)。


軽く買い物をしてサブグラウンドに集合、恒例の現地激励会をして待つこと1時間、入場行進となった。もうかなりの回数、行進したが、今回はスタジアムの雰囲気にひと味ちがう「関西のノリ」があった。
正面を過ぎてコーナーを回ると、地元でもないのに「がんばれ大阪」なんて横断幕が掲げられ、スタンドの最前列から最後列までの人たちが「お・お・さ・か!お・お・さ・か!」とかコールしてくれている。こちらもまあ、健康な大阪人が300人弱も固まって歩いているわけで、つい乗って一緒に旗を振って声を合わせて歩いたりなんかしたのだが、通り過ぎて振り返ると、その横断幕が「がんばれ京都」に変わっていて、「きょ・う・と!、きょ・う・と!」とやっている。選手団一同「うわ、やられた!」とずっこけたのだけれど、こういうのもとてもうれしいものだ。


式典は、音響が悪くて、モニタを観ていないと何を言っているのかよくわからなかったし、(ちょっと時期が早まったせいもあるのだけれど)開会式としてはこれまで記憶にない酷暑で、旗手や甲子園で鍛えられているはずの西宮学園のプラカード嬢が倒れて担架で運ばれたほどだったので、ちょっと参ってしまったのだけれど、ピッチに立つ幸せは感じ取って会場を後にすることができた。


バスは往復で5時間ほども乗ることになり、本や音楽、枕やスリッパ、ノート、書類などいろいろ準備していたのだけれど、活躍したのは結局枕とスリッパで、ほぼ爆睡。熱中症気味の頭痛も無事回復し、いよいよ明日、本番を迎えることになる。


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