大腸内視鏡検査


転勤後疲労がひどく体調への不安があったところへ、試合と重なって職場の健康診断を受けられなかったため、7月に初めて「人間ドッグ」を受けた。


健康診断ではこれまで、あっても軽微な警告が1つあるかないか、という結果だったので、「不安」とはいっていたものの、それほどには深刻ではなかったのだが、果たして結果は15以上ある検査項目の半分近くに「要観察」・「要再検査」・「要精密検査」が並ぶひどいもので、ちょっと驚いてしまった。
今日はその中で「要精密検査」と判定された大腸の検査を受けたわけである。


「便の潜血」はまあ、ちょっと肛門近くで出血があっただけでも出るから、とも思ったのだが、相方は医療的な面ではかなり心配性で、この結果を見過ごすことは許されない、という姿勢だったし、私自身も「はっきりさせておくことは悪くない」とも思ったので、精密検査を申し込んだ。


しかし、これが大変なのだ。
内視鏡を肛門から入れるということは、大腸の中がすっからかんできれいでなくてはならない。
消化管の入り口である「胃」のX線検査では前夜からの絶食で済むが、消化管の終末である大腸をすっからかんにしようとすると、2日がかりである。
ハウス食品から出ている大腸検査食「ダルムスペース」というレトルトの4食セットのみを前日朝から食べ、夜から錠剤・液体の下剤、朝には時間指定で2リットルの液体の腸洗浄剤「ムーベン」を2時間以上かけて飲み干さねばならない。
この間、ひっきりなしにトイレにこもることが、完全に便が透明な液体になるまで、続くのである…。


食べ物でないものをこれだけ大量に強制的に摂らされると、自分がただの「消化管に付随したおまけ」であるように感じてくる。もう、レモン風味の香りがついた飲み物は見るのもいや(あらゆる液体の下剤がレモン風味)である。特に「ムーベン」は、少し感触が機械油のようで正直2リットルは飲みきれなかった。1.5リットルで断念。
説明書きには、「気分が悪くなったり、青ざめたり嘔吐したり…というおそれもあるので、一人で飲まないでください」というようなことが書かれている。実際のところ、レトルトのおかゆやスープみたいなものしか3食とも摂っていない翌日、絶食しながら飲むので、気分はもともとすぐれず、こいつのせいでしんどいのかどうかがわからない。一人で飲むな、といわれたって家に一人じゃ、一人で飲むしかないんだし…。もう、検査前に体も気持ちもかなり疲れてしまうのである。


ちょっと覚悟していたけれど、担当ドクターは男だったものの、若いきれいな女性3人がかりでアシストされながらの検査だった。
覚醒レベルを落とす薬剤を点滴し、内視鏡からはガスも送り込みつつ、モニタを見ながら作業が進む。腸管の一番上まで入るかどうかがかなり心配だったが、腹痛に多少苦しんだものの割合スムーズに入り、順調に検査は進んだ。
炎症や腫れ物が見つかり、後日、培養と生検結果を聞くことになるがまあ大丈夫だろうということだった。

検査後も、おなかに残ったガスがすぐにはなくならないので、ずいぶん変な感じだった。これだけハードな検査なんだが、私のように30代はまれで、50-60代の方が多いという。


うーん…。検査ができるのは健康の証、のように思えてしまう。


[fin]