Mくんとの再会


東京からMくんが久しぶりにこちらに顔を出す、というので、クラブチームの会長Sさんが喜久屋駒井に再会の場をセットしてくださった。
昨晩、スポーツ指導者の講習会から、直接に京都へ馳せ参じた。


Mくんには結婚式に来てもらったが、(それももう4年近く前だ)Sさんはそのとき海外出張中だった。3人で会ったのはそれよりも前だから、随分と久しぶりである。
大学のチームでは無類の射撃好きだったMくんも、ついに銃を手放してしまって、もう試合会場で会うことはない。SさんとMくんの間で長年にわたって繰り広げられてきた迷勝負・珍対決は、私の射撃生活における大きな楽しみのひとつだったから、これは本当に残念なことだった。Mくんの引退は、病気がきっかけだったことは今回初めて知った。
あれこれの懐かしい話と、あいもかわらぬ毒舌の応酬で、あっという間に夜は過ぎる。


会食を終え、近鉄で奈良まで一緒に帰った。
どうやらふたりとも、仕事において今ひとつの曲がり角に立っている。どのくらい頑張るものか、どのへんのスタンスで携わるか、その辺りの感覚については、ややこしい説明抜きに通じ合うところがある。普段の生活では、そういうことは滅多にないから、「感覚」がその周辺で培われたものだったのだと、今になって理解する。同時に、ここしばらくの不具合は、私自身の「当たり前」がどう位置付くのかがわからなくて、いたずらに悩んでいたからではないか、と気づく。


稀にしか会わない人たちの中に散在する私の「定点」。私の中で何かが掘り起こされて、コンパスのようにそれが何かを指し示す。


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