スポーツ指導者研修会

講演風景



公認コーチ資格を更新するにあたって、指定の講習会を受講することが義務付けられている。
いろいろな講習会があるが、首都圏のものであったり、「射撃」というスポーツからは少し縁遠い内容であったりして、行きやすいのは各都道府県の体育協会が主催する指導者研修会であるな、というところに落ち着く。
私は、加盟団体も勤務先も出身校も隣県なので、昨年初めて在住県から研修会の案内を受け取ったとき、すぐにはピンと来なかった。コーチ資格は、住所だけを頼りに登録されているから、そういうこととは関わりがないわけだ。


知り合いもなく、何も勝手を知らないところではあるが、どんなかな、と好奇心が先に立つ感じで出掛けた。
大きな会場に結構な数の出席者が集まっていて、びっくりした。


シンプルに2本の講演という構成。1本目はありきたりな内容で、すこしがっかりだった。ジュニア時代から海外に遠征し、選手として名を成して順調に体育大学の教員となって、そこでずっと教授まで、というスムーズさが、聞く側にとっかかりを感じにくくさせてしまうのだろうか。しかし次の、NPO法人スポーツ援護協会・瀧尻勝也さんのお話は、軽妙で聴き応えがあった。
「スポーツ指導の本質10箇条」として、項目を上げながらの話だったが、「痛み」を通じて、主に中高生アスリートの様々な心模様、家庭の問題、指導者と選手の関係と数多く接してきた経験が盛り込まれて、幅も厚みもある内容だった。

中でも7番目に挙げられた「自然の摂理に反しない」という項目の話が、私には新鮮で印象深かった。
冬に寒さでおしっこが近くなる、というのも、夏や秋に活躍するために意味のあることだ、というのだ。冬場の寒さをマイナス要因とだけ捉えて、暖所でキャンプなどを張り、冬場らしからぬ汗をかくことは、一方で腎臓をサボらせることにもなっている。夏に貧血になったり、ケガが増えたりするのは、それと無縁ではない。早く仕上げて春先に調子がいいのは要注意で、冬は寒い目をするべきだ、というのである。年中同じ観点でトレーニングを考えていてはだめで。春には春の、秋には秋の、冬には冬のトレーニングやウォーミングアップがあるはずだ、と言われて、嬉しくなってしまった。地場でそれぞれに工夫を凝らすことが、そこならではの各様の強さを生むのではないか、という方向性は、元気が出るし夢もある。そういうのは大好きである。


いろんな人の話を聞いてみるものである。時間的にも金銭的にも負担が少ないことだし、来年も予定が許せばこの研修会には顔を出したいものである。


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