天才逝く

スティーブ



朝、仕事で検索をしようとPCを開いて、スティーブ・ジョブズの訃報を知った。
CEO退任からあまりにも早い死に驚いた。ショックを受けている自分にも驚く。


何を言われても、単なる1ユーザーに、使っていることを誇らしく思わせてくれる、その不思議な感じがたまらなかった。熱心なユーザーだったN山くん(長らく連絡を取り合ってないけれど、今も元気にしているだろうか)に共感してPowerBook 520を購入し、以後今この文章を打っているMacBook Airまで、Macintoshを中心にアップルと付き合うこと20年。


「不思議な感じ」とは、ベタな言葉ではあるが、「夢」を見せてもらっていた、ということなのだろう。
何歩も先を行く革新的なアイデアを形にして目の前に置いてくれる驚き。
先進性がありながら世にはなかなか受け入れられない「悲哀」と、やがて多くの人に受け入れられてゆく過程としての30年に渡るリアルな成功物語。
その源が一人の天才に発しているという(実態はそう単純ではなかったかも知れない。いやそれがたとえ仮構であったとしても)神話に乗っかることの興奮。


ちょっとした巡り合わせで、その物語を、不遇の時代からともに歩めたことの幸せが、今朝の喪失感だったのだろう。世界がこれからどう扱うのかは知らないが、日本の片隅のひとりのユーザーにとって、間違いなくひとつの時代の終わりを思わせる一日である。


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