撃ち込む


国体前、まとまった時間を取るのは最後、の思いで、朝から練習に打ち込む。
国体が近づいてくると、例年、験担ぎのニュアンスも込めて、エアライフルの伏射について苦行のような練習を一度必ずすることにしている。
1年を通じてほとんど練習していないのに、大事な大会でいい思いをさせてもらうことが多いこの種目に対して、心を納得させて、本番で支えにするための私なりのバランスの取りかたである。


すぐ伏射に入るつもりだったのだけれど、確認で撃ち始めた立射で、やはりまだ不安な部分がたくさん出てきてやめられなくなり、予定を大きく過ぎて70発も練習してしまった。
帰る時間をそう遅くするわけにもいかないので、昼食をとる時間も惜しく、もう昼前だったけれどそのまま伏射の練習に入った。
「こんな練習の段取りひとつをとっても、調子が悪いといろいろなところにしわ寄せがきてうまく回らなくなるものだ」などと他人事のように自分の様を眺めているところがある。


伏射は、昨年とは道具もセッティングもかなり変わっている。結構危険なことをしている、という見方もできる。ただ、その方向は50mでやってきた技術をそのまま出せるようにするための変更である。
果たして、試合の最終盤の苦しい時に、今年の新しい方法がいい状況を作り出してくれるかどうか。それ以前に、まず大舞台で問題なく使えるものなのか。


自分に課した弾数分だけ、ひたすら分析をはさみながら撃ち続けた。
いいのか悪いのか、今日やったくらいでは正直良くわからない。
答えは本番で、ということになるのだろう。


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