スーツケース

新旧のスーツケース



射撃の遠征でずっと使ってきたスーツケースを新しいものに替えることにした。
今のは、両親が初めて海外旅行に出かけたときの一番古いのを、どうせ汚れるし手荒い扱いになるからと、射撃荷物専用に貰い受けたもので、それからもう17年になる。購入してからだと20年以上になるだろう。エースがサムソナイトのライセンスを受けて作っていたもので、よくできた製品だと思う。ボディは、とにかく頑丈である。フレームやシェルは今でも何ともない。ずっと使い続けたかったのだが、車輪だけがどうにもダメで、転がらない。1輪破損したままだから、というだけでもない。以前に修理した時のことを思い出すと、たとえまた修理したところで、ここだけは今のものと大きな性能差があって、気持ちよくは転がらないことはわかっている。宅配をよく使うのだが、私は送る一方だから、自分が頑張れば何とかなる、みたいに思ってきたが、たいてい受け取る側になる相方が、いつもあまりにも運送業者が気の毒で、と嘆く。それはたしかにそうなので、決断した。今からまた同じくらいの期間、大事に使うなら、何も我慢してこれにこだわらずともよいだろう、と思ったのだ。


愛着のあったスーツケースに替えるのだからと、ここはケチらずにいいと思えるものを買うことにした。今はどんなスーツケースを作っているのかしら、とエースの製品を調べたら、今も日本製であることにこだわりを持っていて、何というか心くすぐられる魅力がある。評判も高いようで、どうしても欲しくなった。フラッグシップは極限の軽量化を売りにしたエキノックスという製品のようだけれど、その部分はそこそこでも頑丈さに無理がない方がいいかな、と「リグロ」というモデルを選んだ。
今日それが届いて、いそいそと詰め替えた。
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見るからにがっちりしていた20年もののサムソナイトに比べると、表面のポリカがどうも繊細に見えて、大丈夫かなと心配になったけれど、こういうものなのだろう。相当な重さで、いつも呻吟して運ぶ荷物を全部詰めてしまって、えいっと起こしてみたら、あまりに軽くてスムーズな転がり方に呆然とする。今まで、何と無駄に力を込めてきたことか。駐車場までの往復が随分と楽になりそうで、嬉しい。


リユース・リサイクルのシステムが予想以上にしっかりしていて、電話一本・無料で古いスーツケースは引き取ってくれるという。説明を読んでいると、再利用される可能性が高いみたいだ。長らくお世話になったスーツケースがただ処分されるだけではないらしい、とわかってほっとする。しっかり鍵をそろえて取っ手にくくりつけ、送られてきた箱に詰めて、回収に出すことにする。


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