姉弟

布団の家で遊ぶ姉弟



息子が8ヶ月になる。あちらこちらに動けるようになって、表情も豊かになり、断然面白くなってきた。お姉ちゃんはこのくらいの時はどんなだったかな、と思い浮かべようとするが、うまく重ならず、新鮮な驚きのほうが多い。忘れてしまっているのもあるが、違っているからということもあるのだろう。保育園では縁側から落っこちたりもしたらしいけれど、周囲の注意不注意に関わらず、お姉ちゃんではそういうことは起こり得なかったように思う。


弟の存在が刺激になっているのか、これまであまり熱心ではなかった人形遊びが、熱を帯びている。特に「こゆきちゃん」と名付けた人形をせっせと世話する。母親が弟の面倒を見ている横で、自分は「こゆきちゃん」の面倒を見る。授乳している相方の隣では、「こゆきちゃん」におっぱいをあげ、寝かせつけている相方の足許では、「ベッド」に見立てた木の踏み台に「こゆきちゃん」を横たえて、布をそうっと布団のようにかけてあげる。


弟に優しく、まめに構ってくれるのには感心している。弟がワーワーという声は、大概うるさいだろうと思うのだけれど、絵本を読んでもらっているすぐ横でワーワーやっても、うるさがることがない。我慢しているという風でもない。
私たちだと、にこにこ微笑ませるくらいなのだが、娘には乳児独特の笑いのツボがわかるのか、弟相手に変な顔をしたり妙な声をかけたりして、車内でもよくケラケラ笑わせている。弟はそんなお姉ちゃんが大好きで、どんどん追いかける。


口に入れると危ないから、小さなものを触らせないように気をつけて、と言ってあるから、ということもあるのだけれど、遊び道具をめぐっては「弟に触らせないように」がすこし過剰になる。なんでも取り上げるので、それはちょっとかわいそう、とときどき仲裁に入る。今までひとりで独占していたものを、弟に侵される「危機感」みたいなのが見え隠れするが、それは仕方がない。


このごろ娘は、朝にいつもかけているラジオで、アナウンサーの言葉を聞き取れるのがとてもうれしいようで、
「日本代表勝ったで」
「6パーセント増えたってー」
阪神勝ったでー」
などなど、逐一復唱して教えてくれる。


子ども特有の、「なんで?」、「なに?」と、気が済むまで続く質問攻めも始まった。ちょっとおかしな返答も混ぜながら相手をしつつ、いよいよこちらも面白くなってきたなあ、と感じるこのごろである。


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