うさぎのスプーン

うさぎのスプーン



この間の日曜日のことである。
這い出さんばかりになってきた息子から娘の小さなおもちゃ類を守るために、容器を買ってきたらどうか、という話になっていたので、昼寝から起きてきた娘を連れて、夕方、100円ショップにお買い物にでかけた。


娘にはまた「3つまで自分で選んで買っていい」というルール。「じゃあねー」と、いろいろ思案して、籠に商品を入れたり戻したりしながらうろうろしている。この間と同じようなものでまた迷うのかな、と見ていると、また違うものからあれこれ試行錯誤しているので、へえ、と感心する。
今回は、柄に可愛らしい絵のついた匙、錠剤入れなどに使うらしいプリントのついた小さなブリキのケース、少し立体感のあるスポンジ素材のケーキやデザートのシールシート、に落ち着いた。眉を潜めたくなるようなものはなく、なかなかセンスがいい。


相方ともこの間、同じような機会があったらしいのだが、その時には、プーさんのプリントのついたカラフルな食器洗いのスポンジを買ってきた。どうするのかと思っていたら、食器洗いをしたいから選んだ、のだそうで、このごろは洗い物をしていると、横に踏み台を持ってきて上がり、ひとつは食器を一緒に洗うのにつきあうことになっている。
翌朝、何気なく朝食の支度で箸と一緒にいつものステンレスの匙を並べておいたら、「ちがうでしょ、昨日買ってきたうさぎさんのスプーン」とチェックが入った。なるほどね。ちゃんと、使う場面を思い描きながら選んでいたいたのね。「はいはい、そうやったね」と置き換えた。うれしそうに新しい匙で食べている。彼女はもう、買い物の一番の醍醐味を知っている。


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