水田を横目に


高速を降りて、国道の北の大きなニュータウンを抜けると、田園風景がひろがる。
水田に水がはられ、代掻きが進んでいる。
早い田んぼでは、弱々しく風に揺れる稲の苗が並んでいた。
今年の田植えの光景は、ひときわ心にしみる。うっかりすると涙がこぼれそうだ。


大震災と原発の事故による東日本の窮状を日々伝え聞く中で、営々と築き上げたものが失われる悲しさに心痛めるが、農業や漁業に関するものは、ずっと昔からの営みのつながりを思い起こさずにはいられないからか、特に象徴的に映る。
たかだか7年ほどだが、大学で農業に関わる勉強をさせてもらって、その間は毎年のように、苗取りや田植え、肥料まきから収穫まで、水田に関する作業を、少しずつではあるが、ひと通り手伝わせてもらった。
断片的な報道から、育ててきた「土」が汚泥にまみれたり、放射能を含む見えない塵に覆われたり、暦が示す時期になっても必要な作業に取り掛かれなかったりすることの深刻さや悲痛を思う。


今朝は、相方と娘は保育園の体験保育にいつもどおり出かけた。
明日の予選を心配して、今日は練習に行っていいといってもらったので、留守番しながら家のことを片付けて、それができたら出かけることにする。


実家に頼まれていたデジカメ一式をネットで手配しておいたのだけれど、それが届いたと連絡があった。
機械に明るいわけではない両親は、ちょっと困っている風だったので、開梱して充電の仕方や、時計の設定、簡単な使い方のレクチャーに立ち寄った。

その後、どうも明日は天気が荒れそうだというので干しっぱなしというわけにもいかず、家にまた戻って早朝にやっておいた洗濯物の一部は取り入れ、一部は風呂場に干しなおし、などやっていたら、すっかり出るのが遅くなってしまった。


弾の購入は今日も見送って、慌てて直接に能勢へと向かった。
水田を横目に走って、射撃場に15時前に滑りこみ、ざっと立射の調整をした。


再現性は悪くないと思うのだが、何となく息が詰まったような感じで重々しい。
胸周りの使い方に含まれる不確定な部分や、体調によるものなのだろう。
ひとまず明日は何とかなりそうだな、ということは確認して、引き揚げた。


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