検診


保育園では、定期的にいろいろな科の先生が来て、検診や検査をしてくれる。
今日は小児科の先生が来て、発達検査のようなのがあったらしい。


いつもは先生から様子を伝え聞くか、結果だけ知るくらいのものなのだけれど、小さな弟の母子通園のおかげで、その様子を相方が見ることができた。
なんでも、ずいぶんと親とすれば歯がゆい場面の連続だったらしい。


「おなまえは?」
「・・・。」
(えー?ここからだまっちゃうの?)


「何歳かな?」
「・・・(恥ずかしそうに指を3本立てる)。」
(えー…?いつもあんなに「3」にかこつけて「3つ欲しい」と理屈をこねたり、だれそれはいくつ、誕生日は何月、とか言ってるのに?)


「(色のついたものを指差して)これは何色かな?」
「・・・(くねくね、もじもじ)」
(あちゃー…。)


「じゃあ、片足でジャンプできるかな?」
「・・・(もじもじ)」
(おーい…。)


「お母さん、家ではお話とかしてますか?」
「…はい。いろいろ。かなり。」
「色はどうですかね」
「…青と緑はときどき間違えますが、だいたいちゃんと。はい。」
「両足なら、ジャンプできるかな。」
「…えーと、たぶん片足でもできると思うんですけど。」
なんだかなあ。


帰りの車で早速
「お医者さんとおはなしの時、どうしたの?」
と相方が尋ねると、
「なんか、はずかしいなあーと思って。」
とのこと。
「できるのに、くねくねもじもじして、ちゃんとしない方がはずかしいよ。」
と相方が言うと、気まずさから話題を変えようとしたらしく、
「『ふぁみりんご』は片足で立てるなあ。」
と言う。
「え、なに?」
「動物園にいたやん!」
「え、だから何?」
「ふぁみりんご!けんけんしてたやろ。」
「…それはフラミンゴ!片足では立ってるけど、けんけんはしてへんよ。」


ほかにも、なんだかおかしなやりとりが、いろいろ繰り広げられているらしい。


じごくのそうべえ (童心社の絵本)
このごろの「寝る前の絵本」は、「じごくのそうべえ」が娘のお気に入りである。
上方落語の「地獄八景亡者の戯れ」という、壮大な話を下敷きにした、それは痛快で面白いお話である。
落語家の兄を持つ一家としては、ちょっと特別な親しみのある絵本なので、それを喜んでくれるのは嬉しいことである。
読む側もつい力が入って、楽しく熱読(?)してしまう。


車内でも「とざい、とーざい」とか「おならがぶー」とやってる分には、はははと笑って聞いてもらえるのだけれど、隣でうつらうつらしている弟に、
「生き返ったんか、あんた。よかったなあ。」
とかやって、
「ちょっと…、それはやめなさい。」
と、相方からまたまた苦言をくらう娘。
「いまごろお医者さんも生き返ったはるわ。」
と、負けずにやりかえしているらしい。


「家ではお話とかしますか…」どころではないんだけどなあ。
相当に内弁慶なのかしら。


[fin]