作業日


今日は、保育園の「お父さんの作業日」だった。
週末は何かと射撃関係の用事があって、これまでなかなか行けなかった。
大抵のお父さんお母さんは、こういう仕事にきちんと参加されていて、お互いによく知っておられるようなのだが、私の方はそんな具合で誰が誰なのかさっぱりわからない。
今回も、何をするのか全くわからずに、ちょっとおっかなびっくりで、ひとまず動きやすい格好で園に向かった。


今回は、年間スケジュールにはない臨時の作業日だそうで、つい先日の作業日に参加できなかった人を中心に7-8名というところだった。
新顔の私は、畑の柵の補修に充てられた。
向こうは、皆さんなぜか私のことをよく知っておられて、何となくこちらからはいろいろ尋ねにくくなってしまい、やっぱり誰が誰なのかさっぱりわからないままにずっと作業することになってしまった。


柵は、モルタルで角材の足元だけ固めた簡易なもので、何箇所かでぐらぐらになっている。
角材の短い杭を作り、それを周囲に打って固めてほしい、ということだったが、やってみるとそれほど効果がない。仮にうまくやっても、土中に打った木は早晩腐食してしまって元の木阿弥だから、この方法はやめとこう、と充てられた3人で結論する。
ぐらぐらになった柱の下を掘り返してバラスで受け、ブロックを割って作った大き目の破片を当てて囲み、踏み固めなおすことにした。
簡単な方法だが、柱はがっちり固まって微動だにしなくなった。よしとする。


その後は、「本隊」の工作作業に組み入れられた。
作るものについて特に指定はなく、床下に残っている材で、ベンチや椅子・机をできるだけたくさん材が無駄にならないように作ってほしい、という実に大雑把な指示だった。
そんなんでええんかいな、と一瞬耳を疑った。
塗装業をしている方の私物も含め、丸鋸盤やインパクトドライバ、サンダーなど、結構な工具類が揃っている。


即興でそういうのを作れ、と言うのは要求としては結構高い。でも完成度を問わない、という点では実にゆるい。
ちょっとの間様子を見ていると、本当に好きにしていい感じだったので、さっそく材を見立てて、作業に取り掛かる。
ストックされている木材の多くは、すでに一度何かに使ったらしい、規格材の廃材だった。
一緒に柵を直したお父さんに、ドリルを任せて、材の寸法や構造を決めて、切り出して行った。
スライダのついた丸鋸盤は、いい道具で、作業がとてもやりやすい。
うれしくなって、まずは小さな子供が屋外で使う、高さ25cmくらいのベンチを2つ作った。


その後は、園庭の奥、小さな原っぱのようになっているところで野ざらしになって朽ちかけているテーブルやベンチを補修する。
腐食が進んだ材を取り外し、あるいは端がダメになっているものは全体を切り詰めたりと、あれこれやってしっかりと再生させた。
いろんなお父さんたちが代々こうやって繋いできたのだろう。矢鱈滅多らに木ネジが打ってあって、うまく解体できないものもあって、再生をあきらめざるを得ないものもあった。


園からは、いろいろと要望が上がっているらしく、来年度しなければならないことがあれこれ話題に上がっていた。
好きなことを、盛大にやらせてもらったような具合で、申し訳ない感じであった。
曇り空の下、心地よい疲労を覚えながら帰宅した。


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