月例会でダブルマッチ


来週が日本選手権なのに、またまた自分の練習は全くできていない。
ちょうど今日、月例会があるというので、とにもかくにもそこに参加して撃っておこう、と先週の合宿中から予定にしていた。


昨晩は、娘が両親からプレゼントされたドールハウスを組み立てつつ、娘たちの玩具類をどうやったら子どもにもわかるようにきれいに片付けられるか、あれこれ試行錯誤してすっかり遅くなってしまった。
月例会は9時半に始まるから、3時間弱しか眠れなかったが、仕方なくいつものように朝5時半に起き出して、出かける用意をする。
7時には出たかったのだけれど、疲れた様子の相方にそれを強くも要求できず、なんとか一家4人で家を出たのは7時半だった。
相方の実家に立ち寄って3人を降ろすと、そのまま慌しく能勢に向かった。


9時半撃ち始めのところ、9時15分ごろに滑り込んだ。準備もそこそこに月例会は始まった。
急ぎながらも、ひとまず滑り出しの部分をしっかり練習しなくてはと、本射に入るのが少し遅れることは覚悟の上でプレパレーションを少しとり、いつも通りにきちんと試射を15発撃った。
この間にノートを元にフォームの細かいところを詰め、できる範囲で「試合のリズム」も呼び起こす。


パチッパチッとすべきことを積み重ねる感じで撃ち進め、99点でS1を終えられた。
結構なブランクとこのコンディションで、こういう風に撃てるなら、ひとまず課題はひとつ達成できたと思った。
その後、徐々に銃の揺れが出て、微妙な外れが続いた。
崩れる原因は、曖昧な基準と発想の下で「加減」している箇所が、動きの迷いとなって無意識の内に試行錯誤をはじめ、小さなバリエーションを生じることにある。
どこがその源か、見極めがつくまで、下手にあがかずに撃発を積み重ねていく。スコアは荒れてしまうが、もとよりそういうテストをするための記録会だ。


右腕と右胸の部分、強い接触とバランスを生み出すための伸展という、相矛盾する要素が共存しているところに行き着く。
これまでにも懸念していたところだ。
しかしこれまで、解決策がうまく見つからずに、「棚上げ」にしてきた。
脱力系がいいのか、筋緊張を使うとしたらどこか、採るべき形は伸展の方なのか、抱え込みの方なのか。
それほど悪くはないが、どれか決め手に欠ける、という感じで撃ち終わった。
スコアは584(99 97 96 97 97 98)だった。


月例会は、クラブチームが主幹を持ちまわって行っている。
朝、ぎりぎりで駆け込んで、貼り出された射座割の空欄に名前を急いで書いていると、今月の主幹チームのGさんが、「2射群やるから、2回撃ってもええで」と冗談半分に言っていた。
なんだかもう少しやってみたらわかりそうな感じがするし、身体の方はまだまだ何ともなかったので、下のフロアに行って「もう一回撃ってもいいですか?」と尋ねた。
「かまわんよ。」ということだったので、再び2階に上がり、大慌てで標的と弾の準備をする。
月例会なので、射群のインターバルは15分しかない。
1射群のときと同様にばたばたしながら2射群目に臨んだ。


1試合目で、バランスのための右胸の伸展は、実際の形状よりも形而上の判断による部分が大きいということがわかってきたので、思い切って意識上はそれを一切やめて、バットプレートと上腕の強い接触だけを徹底する方法を採用する。
伸展させる動作を一切行わなかったときにできあがる上腕−胸−肩の構造は、標的側に縮こまったものになるのか、ということが気がかりであったが、意外にそうはならなかった。伸展動作を行っているときと形状は異なるのだが、それはそれで引き込みのできた、バランス面でも問題のないかたちになっている。
指導している選手の中に散見される、標的側にバランスの偏ったフォームは、伸展を特に意識しなくても問題なく回避されるようだ。それが、私自身の身体の上でそういうものを回避するクセが備わっているからなのか、そういう問題が生じるのは一般的にもっと違う原因だからか、ということはまだよくわからない。
しかし、これですっきりと撃てるようになった。


そうすることを決めた第2シリーズ以後、最後まで一貫して、強い確信の下で撃ち続けることができた。
あまり経験のない「強い確信」にかえって翻弄されてトリガリングが狂い、98止まりになってしまったが、充実感いっぱいで撃ち終えた。
586(96 99 97 98 98 98)。
スコア以上の手応えがあった。
結果は終わってみないとわからないけれど、来週は大丈夫、ちゃんと「試合」として臨めるな、という自信ができた。そうやって試合を迎えるのは珍しいことである。


4時間弱の間に立て続けに2試合撃って、平気だったことには我がことながら感心した。
さすがに撃ち終わると疲れを感じたが、決してよくない体調で、しかもかなり無茶な試合参加の仕方だったにもかかわらず、大したものではなかった。
そういう面でも、何かが削ぎ落とされて、掴んだものがあったのだろう、と思う。


昼食もそこそこに帰りも慌しく、射撃場を引き揚げた。


[fin]