おべんともって

ヒヨドリとお弁当を食べる



相方は産後、身体のあちこち、なかでも腰周りの痛みがあって辛そうだ。
出産は、骨盤の形が短期間に大きく変わるし、周辺の筋肉の状態の変化も伴うから、リセットされるような部分もあるけれど、それよりは歪んだり、筋の強さやバランスにひずみが出たりすることも多いようだ。
今日は、いつも私がお世話になっている整体師のOさんに診てもらいに、息子を連れて出かけることになった。


それならばと、私と娘はお弁当を持って竹取公園へ遊びにいくことにする。
二人を見送った後、お弁当箱におにぎりとおかずを詰めて、私たちも出かけた。


いい陽気だった。
ラソン大会かなにかの会場になっているところがあるらしく、公園のいつも停めている空き地のような駐車場は満車の表示板が立てられて、入れなかった。いつもは、すいすいと一番奥まで入って、ぽつんと停めているから、少し面食らった。
少しそこを通り過ぎてから公園を回り込むと、きちんと舗装された、この公園本来の駐車場があって、そこはまだ空いているところがあって大丈夫だった。
娘は、違う公園に来たのか、と思ったみたいだったが、説明して公園に入ると、見慣れない角度からではあるけれど、勝手を知った遊具が遠くに見えて俄然元気になった。


小さい子にも遊びやすい、少し小ぶりのアスレチックでは、娘と同じくらいの大きさの子やその親たちがたくさん遊んでいた。
はじめだけ一緒に一回りしたあとは、ちょっと離れてどんな風に遊ぶか見守るようにした。せっせと一人で登ったり下りたりしている。ほかの子の様子を見計らって、うまく割り込んだり譲ったりしているのを見て安心した。


頃合いをみて、そりはどうする?と尋ねると、行く!と言って、ちびっ子ゲレンデに向かった。
ここでも今日はどうするか見ててやろう、と思って、ヘルメットの紐を留めてやると、いっといで、と送り出すだけにした。
いつものように低い方のゲレンデの上にそりを運んでいくと、「押してー」というので、「よいしょよいしょっ、てからだをゆすったら、自分で降りられるよ」、と横のちょっと大きな子がやってるのを見せると、自分で降りていった。
全部自分でやったら、自信がついたのか、3回ほど滑ると、「次はあっちいってみる」、と大きい方のゲレンデに向かった。
おおー、と内心ではびっくりした。やるな。
ほかの子とぶつからないように、奥の方で滑るようにだけ案内して、見ていると、自分で滑っていった。
うまくできたのが、とてもうれしい様子で、下から「パパー」と手を振った。こちらも嬉しくなる。
その後何回か滑ったあと、満足感いっぱいでゲレンデを離れた。


その後は、お決まりのコースで、長いローラー式のすべり台を1度すべりに行って、それからやっとお弁当を食べることになった。
お弁当大好きの娘は、嬉しそうに食べる。
二人が座っているすぐ向かいのベンチにヒヨドリが一羽来て、こちらを見たりあちらを見たりと、怖がる風でもなくずいぶん長いこと留まっていた。
食後、娘のたっての希望で、再びはじめに遊んだアスレチックをひとまわりして、やっと帰途に着いた。
走り出すとすぐに寝息を立てた。


そのまま家で続きの昼寝をさせていたら、相方と息子が帰ってきた。
公園での様子を話すと、大きくなったよなあ、と何となく感慨にふけるようなことになった。


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