1月のランクリストマッチ


担当のNさんにメールするだけでエントリー、となる気楽さがランクリストマッチのいいところなのだが、Nさんの方はきっと大変だろうと思う。
いつものようにメールしたが、今回はなぜか、エントリー漏れするんじゃないか、という予感のようなものがあって、スタートリストが出るNさんのブログをあらかじめのぞきに行ったりしていた。
メールでNさんから、「エントリー表アップしました」という連絡が来て、見に行ったら、(やはり、というかなんというか)私の名前がなかった。
変な予感が当たるものだなあ、と感心しながらNさんに連絡を取り、修正を依頼した。


昨晩は、職場から、娘や相方のいる相方の実家ではなく、自宅の方に帰り、直接今朝能勢へと向かう。
明日は同窓会があるため、今日2回撃つことにしている。


12月のランクリストから、結局銃に一度も触れずじまいだ。
新生児がいて、なかなか夜はぐっすりとは眠れないし、家にいることの多い冬休みはどうしても身体がなまる。
1日の間に2度、ともに高い質を保って撃つ、ということ自体が容易ではないし、やれやれ今日は厳しいことになるだろうな、と思いながら車を走らせた。
到着は遅れ気味だったけれど、エントリーの手続きが滞ったり、照明に不具合が出たりして、試合開始が遅れ、私にとってはこれが幸い、ちょうどいい準備時間となった。


さて、9時45分からとなった1回目。
銃に触れるのが1ヶ月ぶりなので、頼りは射撃ノートだけである。最近の記述に目を走らせて頭の中で姿勢構築のポイントを浚う。
ああ、そうだった、と感覚が次々思い出されて、構えてみたら前回の試合の続きのような感じがした。
(錯覚も含めて)そう「感じて」しまえるところが、長年途切れ途切れにしつこく続けてきた私の「武器」だろう。


12月の2回目は、最終盤に軸の緩みを修正して立ち直って(99 99)終わる、という具合だったのだが、その「軸が緩まないで、すっきりと鉛直線が張りを持った具合を保つ」状態がきちんと再現できたため、その点はわかりやすく滑り出すことができた。
トリガーを引く指の状態を優先して作る右腕のリラックスと、銃を引きつける形で軸の中に収める動作が、相矛盾する動きだということが気になっていた。両方をうまく立てることができる時は問題ないのだが、一方が優先されてもう一方が破綻する、ということになると失点につながる。
全般に、集中力を欠いていたこともあって、中盤からは、行ったり来たりするような感じになり、スコア的には出入りの激しい結果になった(97 100 97 96 99 96 585)。


2回目は1時過ぎから。
1回目の後、すぐ小さなパンとゼリー飲料で軽くエネルギー補給して、日向に停めた車で冷え切った身体をゆるく解凍しながら待つ。
2度ともそこそこのコンディションで撃つのは結構難しい。
大抵、疲れから食べ過ぎてしまったり、のんびりしすぎて緩んでしまったり、逆に持ち越した疲れの大きさで全くダメだったりと、うまくいかないことが多い。
今回は、もともとのコンディションがあまり良くないこともあって、ここに結構気を遣ってやってみたのだが、これまでで一番と言ってもいいくらいうまく2回目に入ることができた。何となく勘所がわかった気がして、これ自体が大きな収穫である。


1回目の反省も生かして、撃発部分の雑さを除くことを心がけながら撃ち始めた。
こういう時、動きの様式の方を意識するのは、あまり得策ではなく、結局は関わりのある部分の力加減や構造的なところを整えることになる。
撃発の場合は、それは右腕や右手ということになるのだけれど、いざそうなってみると「理想的な状態」について、実に曖昧にしか把握できていないことがわかってきてしまう。
その曖昧さと、工夫するほどにゆるい感じになる気持ち悪さを感じつつ、1・2シリーズは99 98で乗り切った。
しかし、やはりそのおかしさはしっかり次シリーズになって弾着に現れた。
パフォーマンスをうまくやったつもりが、微妙に9.9や9.8になる、ということが立て続けに起こる。その時に「理想的」と考えた方法へ幾度修正を繰り返しても失点が止まらなかった。終わってみると、92。
ここまで徹底的に外れたのは、一体いつ以来だろうか。
失点に恐れをなして適当に途中であれこれ変えず、徹底してある方向への修正だけ突き詰めていった結果ここまで行ってしまったのだけれど(そしてまた、そうさせるくらいに9.9くらいのぎりぎりの外ればかりだった、ということでもある)。
試合としてはえらいことになってしまった、と思ったが、はっきり、その方法を「間違い」、として捨てることができるところは、(まあ、それくらいしかないのだけれど)いいところだな、と思い直す。


指を反射に委ねてスムーズに動かせるようにするためには、どの程度まで筋緊張があっても大丈夫なのか、というあたりの見積もりが、結局のところこれまで20年近く撃ってきてもきちんとできていなかった、ということなのだった。
実際よりも相当に「力が抜けていないとできない」と思い込んでいたのが、どうも原因のようだ。
4シリーズ目からは、そこをガラッと変えてみた。
自分で思う「最低限」の脱力を探ってみて、ここまでならいけそう、と目星をつけたところで繰り返していく。


支持しているパーツの緊張を高めに使うのだから、固定感が増して、静止も張りのあるものになるのだが、裏腹に生じると思われた他の悪い影響はあまり認められず、一気にパフォーマンスは回復した。
そこから98 100 99。586でフィニッシュした。


終わってみて振り返るに、よく3シリーズの点数があって、気持ちが切れずに最後まで攻められたものだ、と自分の中の成長のようなものを感じずにはいられなかった。
右腕の使い方についての収穫も大きい。
大して目立つスコアが出ているわけではないが、今季のランクリストマッチ、ここまでなかなか中身の濃い射撃になっている。


[fin]