送迎して

砂場の娘



今日は出生に関わる手続きのことなどもあって、休みを取ることにしたので、長らく義父母に頼りきりになっている、保育園の送迎を引き受けた。
なんだか、このひと月で一段と達者になった娘は、園までの道中もいろいろな話を聞かせてくれるようになっていて、面白かった。


お迎えでは、なかなか普段見ることのできない、午後4時の保育園の風景に飛び込んだ。
3時半を過ぎればいつでも迎えに来ていいですよ、ということなので、おそらくこの時間帯は「日課」というのでなく、保護者を待ちながら、その時々にできることをして子どもにのびのびと過ごさせているのだろう。
勝手に子どもだけで遊んでいる集団もあれば、先生を中心に輪になっているところもある。ホールでは、年長児や学校帰りの学童生を相手に本格的にリズムをしていたりもして、園のあちらこちらに三々五々、といった感じでいろんなことをしている。
先生を囲んでいるグループには、テラスで紙芝居をしているところもあるし、園庭の丸太のところで絵本を読んでいるところもある。
それぞれに子どもが雀のように集まって並び、始まるのを今か今かと本当に楽しみに待っている姿が微笑ましい。


娘は、ひとりズボンを履き替えに戻ってきているところで、私を見かけると、
「絵本聞きに行ってもいい?」
と真剣な顔で尋ね、
「うん、いいよ。」と私が言うが早いか、ばばっと半ズボンを履いて、裸足のまま園庭へ走っていった。


汚れ物を袋に詰め、着なかった衣類をリュックに片付けて、日誌を読み、お便りがないか確かめたら帰途に着く。
1つお話が終わったけれど、娘はまだ帰りたくなくて、もじもじしている。
先生が見かねて、
「もうお迎えが来てるから帰らないとダメよ」
と押し出してくれた。


帰りの車中では、ちょっとしたお菓子を食べるのが楽しみになっている。
今日は、レーズンロールを半分と、小さな干し柿、それにラムネが2つ、ジップの付いたビニールに入れてきた。
どれから食べようかなあ、とじっくり時間をかけて、ご満悦だった。


日誌によると、今日は「源氏三代(源氏の三代にわたるお墓があるところのことらしい)」まで歩いていって、しっぽ取りをして遊んだという。
「源氏三代」で思い出したけれど、義母によると、娘はしりとりができるらしい。
結構いろんな単語が飛び出して、ちゃんとしたしりとりになるという。
何かの拍子に「げ」で終わることがあって、義父母が困っていると、「げんじさんだい!」と繋いでみせたので驚いた、というようなことを話していた。


ぎゅっと顔を寄せて、一生懸命歌ったり、一生懸命絵本に見入ったりする子どもたちの姿を見ると、きゅーっと何か締め付けられるような感じがしたあと、ゆったりしたやさしい気持ちが溢れてくる。
いいところを見せてもらったなあ、としみじみしながら、夕暮れの中、車を走らせた。


[fin]