一緒に階段を上り下りする


朝の相方のメールによると、昨晩は痛みで夜中に幾度か起き、あまり寝られなかったという。
今回は、入院した後に順調にお産が進んでいるのだな、と逆に安心する。


それでも、すぐに生まれそうか、というと、そんなことはなくて、状況としては昨夕にチェックしたときよりも落ち着いているくらいのようだ。
午前中にゆっくりと検診を受けて、様子を見ることになりそうだとメールがあった。
面会時間は13時から20時30分ということだったが、何となく待ちかねてそれより少し早く病院に顔を出した。


検診の結果、正式に入院が決まったので、会計の手続きなどをする。
上の方で破水も認められたということで、基本的には24時間以内に出産ということなのだが、本格的な陣痛だけが来ていない、という状態のようだった。


予定日は12月6日とまだ先なのだが、赤ん坊のサイズがすでに相当大きく、正規産の週に入ったら、早く生まないと自然分娩は難しいかも、と言われていて、今が「そのとき」なのだろうと思う。
第一子だった娘の出産では、病院が家から少し遠く、慎重を期して早めに入院したら、出産まで随分長く居ることになってしまい、辛かったという。
同じ轍を踏むまい、と今回は大分いろいろ考えてやってきたのに、また同じことになるのではないか、という不安もあるようで、少し焦っているようだった。
実家に帰ってからは、ゆっくりお風呂に入ったり、母親と随分長い散歩したりして、あれこれ「早く生まれるように」がんばってきた相方だったが、入院してしまうとなかなかそういうわけにもいかない。
それに加えて、一般的な妊婦食がそうなのか、妊娠糖尿病のおそれがあるという診断があったからか、食事がとても物足りないらしい。
こればかりは半ば笑い話として聞いたけれど、焦りや不安は、なにか前向きにやって解消しないとなあ、と一緒に階段を上り下りした。


まだ建てられて新しい病院で、どこもなかなかきれいである。
助産師さんでもある、産科の女性スタッフはそれぞれにどこか趣深く、気さくな人たちだった。
促進剤なしで産めないか、ということが相方の頭にはあるみたいで、それもわかるけれど、まずは焦らずにできることをやって待ったらいい、と私は思う。


夕方に一旦、娘の待つ実家に帰り、連絡を待つことにした。
メールによると、相方は夕方にもまた階段を上り下りしたらしい。


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