総合病院で産む、ということ


妊娠糖尿病の疑いがある、と言われて、相方の一昨日の定期検診は、検査で終わってしまった。
HbA1cの値がわずかに基準値より高かった、という割に大げさな対応だと思っていたら、今日の検診では、やいやい危険性をあおって説明して妊婦を不安に駆らせ、あげくたらい回しにする対応で、後で話を聞いてすっかり頭に来てしまった。


HbA1c:ヘモグロビンエーワンシー。これまでにもこの数値については縁があって、近所の糖尿の専門医から説明を受けたことがあり、その意味を相方はよく知っていた。これは、現在の血糖の問題を示しているというより、1〜2ヶ月前の状況を反映する数値で、一般には検診前だけ節制して糖尿病の検査を潜り抜けるクライアントを捕捉する(もちろんそれだけではなく、検査時とそれ以前の血糖値の状況をあわせて把握する、という重要な意味があるのだが)検査項目である。もちろん潜在的な糖尿病のおそれについては否定しないが、予定日まで1ヶ月を切っている妊婦を、予約をとっても2時間近く待たされる糖尿外来に回し、座るところもないところへ送り出しておいて、負荷検査(絶食によって糖を絶ち、血液的に飢餓状態を作っておいて、その後糖を与えて急激な血糖値上昇を人為的に起こさせて、その後血糖値が収束していく過程を連続的に採血して検査する、というもの)を受けさせる神経がよくわからない。


しかも、診察に当たった産科医ごとに全く異なる診断を下し、結果を持っていっても、どうしてそんな検査を受けさせたのでしょう、などといわれる始末。


「月が変わったから検査しておきましょうか」などというせりふからはっきり読み取れる、妊婦としての検診よりも検査を受けさせることを優先する姿勢。
数値だけを頼りに、自分が責を負わないよう、他科の判断に頼るばかりか、その他科へ自分で問い合わせることはせず、患者を回す横着さ。
妊婦検診は「2週間」の間隔で行われるのだが、その医学的な意味より、「明後日ならまだ2週間と5日ですから」などと、役人的に平気で先送りする考えや、患者には何度でも病院に足を運ばせればいい、という感覚。


予約の調整や医師への掛け合いをして、妊婦の体を気遣ってくれるのは医療事務のスタッフばかりである。
組織としてまったく有効に働いていない。


第1子は産婦人科だけの病院で産んだのだが、今回はその時とずいぶんと違う不安を感じる。総合病院で産むというのは、こういうことがつきものなのだろうか。
妊婦として必要な医療は何か、ということを、ほんの少し考えれば、今回のような対応にはならないのではないか、と思うのだが…。ごく当たり前の何かが、抜け落ちているように思えてならない。


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