レストランの娘


天候が不順である。奄美大島は大変なことになっている。こちらも、大したことはないが雨模様だった。


仕事を休んでいる相方は、娘を迎えに行くのに(一応)県境を越えることになるのだが、今日は夕方に道が突発的にやたら渋滞した。
いつもなら30分程度で着くところが1時間半経っても着かない、という状況で、すっかり遅くなってしまった。身重の相方にはこれだけでかなりきつい状況だ。
帰ってから夕飯を支度し、食べさせて寝かせるのは無理、ということになり、はじめて「ガスト」のお子様メニューに頼ることにしたのだという。


お店に寄りたくて、日々帰りの道中で「おしっこしたい」とアピールするような娘にとっては願ってもない展開だった(車内には簡易のトイレまで用意してあって、停車こそすれど、いつもは立ち寄ってもらえないで帰ってくる)。


娘は、やったー!とばかりに、店に入るや「これがレストランかあ、こんなふうになってるんかあ」と大きな声で感心してみせて、相方を恥じ入らせた。
外食はほとんどしないので、ファミリーレストランに来たのはせいぜいのところ数度目なのだが、さっさと席に着くとテーブルに届くよう正座した。相方は、「あ、これなら大丈夫だな」、と娘一人を席に置いて水を取りに行ったようなのだが、戻ってみると、その間にちゃっちゃとお子様メニューを選んで開き、「んー、これがいいかなあ」と選んでいたので、そのいっぱしの姿にひっくり返りそうになったそうだ。
はあー、そういう食べることにまつわる諸々についての吸収力というか応用力はえらいもんだなあと、聞いた私も笑ってしまった。


「またレストラン行こうなー。」と、娘はご満悦で眠りについたらしく、いい寝顔をしていた。


[fin]