雨、再び

Y103books2010-09-27



今日は、50m競技の応援である。
朝から予報どおりの雨。


昨日は、私の競技の後に行われた「男子エアピストル」が、稀に見るすごい試合になった。
本戦は1点差で堀水選手と松田選手が1位2位に並び、ファイナルはやや荒れ気味ながら一進一退の激しい攻防を繰り広げた。最終弾で二人は同点に並び、「優勝決定シュートオフ」という、これ以上にない盛り上がる展開と相成った。
「これで終わり」と思われたシュートオフの1発目、ともに文句なくきれいに中央を撃ち抜いて10.5。まさかのサドンデス2発目へ進んだ。
この2発目も貫禄の10.6を撃って松田選手が5連覇を果たした。
射撃の試合では滅多にない、周囲を取り囲む多数の報道陣に対して、割れんばかりの拍手と歓声が会場に満ちる最高の試合を見せることができた。


わがチームは、女子の50m伏射、女子のエアピストルでもともに3位に入り、私の優勝と併せて、初日にして天皇杯ポイント20点の荒稼ぎをした。こんなにうまくいくことはあまりないことで、これはこれでわざわざライフル会場まで取材に訪れてくれた地元紙に、この上ないニュースを提供できたと思う。
今朝の新聞を開くと、全国紙のスポーツ面にも松田さんの5連覇については一隅にしっかり記事が掲載されていた。相方からメールがあって、地元紙には私の優勝や大阪のライフルチームの活躍が大々的にトップ記事とスポーツ面で取り上げられているらしい。


さて今回は、すでに書いたとおり3会場分散開催なので、10mの選手である私は50m競技の行われている県営射撃場に足を踏み入れるのは初めてである。
古い射撃場に標的などだけ新しく入れて使う、ということで、どうなっているのかと少し心配したが、床のコンクリートから屋根や壁、すべてきれいに塗りなおされて、随分明るい雰囲気に変わっていた。周囲の露地も要所要所が舗装されて、会場らしくなっている。
ただ、雨の中では逃げ込むところがほとんどなくて、試合会場の細い通路に人がごった返すことになった。


今日ここでは、男子50m三姿勢1種目だけである。
この種目は、各ブロックで半分以下に絞っているから、この競技に関わりのある都道府県もやはり絞られたその数だけである。女子の50m種目も同じで、この会場がいくらきれいに整備されてもいまひとつ盛り上がらない一番の要因になっている。


ベテラン選手は50m競技の方に多いから、私としてはこちらに来た方が長らくの苦楽を共にした知り合いの割合が多い。
一緒にサポートに来たIさんと、チームの射座の後ろに陣取って戦況を見守る。
うちのAさんの隣は関東のチームだったのだが、私たちのチームから就職を機にそちらへ移っていった選手Nくんが復活して代表になっていたので、その隣の関西他県のO選手と併せて、まるでそこだけは地元の定期戦のようだった。Nくんについては、どうしているのか、ちゃんと続けているのか、と心配していたので、その姿を見つけたときは嬉しかった。


試合の方であるが、Aさんは伏射で2位と善戦したものの、立射で大きく崩し、膝射もそこそこ、無念の9位となった。O選手が10位、Nくんが11位と、3人そろって決勝にぎりぎり届かない悔しい結果だった。


私はこの種目で国体に出ていた時期が長かったので、久しぶりに一試合を通じて後ろで見ていると、自分も撃っているような気分になってきた。
この種目は10m種目と違って、3つの姿勢をしっかり整えねばならない。今でも、出場して入賞ラインを行ったり来たりすることはできるとは思う。ただ、それぞれの完成度が「私の中で」まだ不十分で、さらなる技術の上積みをしないと成績が安定しない。自分の中である程度「できた」と思える絵があれば、「それとつき合わせて調整する」ことはある程度やりやすいが、あたらしく絵を作り上げる時間的体力的な余裕はなかなか見込めず、今は勝負を10mに限っている。


そうは言っても、50mの各姿勢について、全く撃っていないわけではない。
今日、試合をずっと観てみて、合間に少しずつでも取り組む際には、少し長めの視野に立って、絵を描いて前に進むようにしなくては、と強く思った。
目の前の試合に追われるのではなく、少しそこから離れて純粋に練習をしてみたい、と思う。
10m種目で新しく積み上げているものを、50m種目の技術として編み直すことで、また新しく見えるものがたくさんあるはずである。


[fin]