120発


広島に来ている。
今回は、来年の国体山口大会のリハーサル大会を兼ねた全日本社会人選手権である。


15年ぶりに、広島つつが射撃場が国体会場として使われる、とあって、会場や開催地への新味は全くない。
前回1996年にも、学生生活を送っていた京都から代表として出場していた。時の流れた分量につい思いを馳せて、例年のリハーサル大会とは感慨のありかが少し違っている。


朝から、三姿勢120発競技に出た。
新しい方のジャケットで臨む。春先いきなり試したときは、銃の取り違えもあって、何が何だかわからないままぼろぼろで終わったが、今回はどうか。


10m競技ともつながる伏射については、少し慎重に確認をする。
試射のうち、やはりぐにぐにと思い通りにはねじ伏せられなくて、ばらばらの弾着になる。
試行錯誤して、落ち着きどころが見つかってからは、しっかり撃てた。
24発目まで失点1。99・100と滑り出した。
しかし、はじめの試行錯誤と不慣れさがたたって、そこで残り時間10分のコール。
そこから慌てざるを得ず、8発も外してしまった。・・・391。
内容には納得である。


立射。
時間こそ経っているものの、結局は新しいジャケットで練習しないまま出ているわけで、ここではそれが大きく影響した。
腕−首周りの状態が変わっていることに対応するのに四苦八苦して、全然ダメだった。レンチ片手に、カチカチャと違和感のあるポイントを修正しながら撃つ、というような状況で、スコアがどう、という以前の内容だった。
バットプレートが接している箇所から頬までの距離が不足している状態で、無理やり合わせようとすると、上体が詰まったようになる。体幹をたわめる力が働きすぎて、気持ち悪くなったり、腰が痛くなったりと、散々だった。
身体に自動的に調整しようとする作用があるために、理論的な点での高低のコントロールとは違う動きが現れるのだけれど、それについていくつかはっきりとした因果関係を見つけられたのが唯一の収穫か。・・・359点。


膝射。
スコアは散々ながら、収穫はあり、か。
体幹のリラックスと軸の関係を再現するにあたって、大きなバルーンをイメージした構え方が、うまく使えそうに感じた。
しかし、それが得点に結びついたのは途中の1シリーズちょっと。・・・369。


トータル1119点。
こうしたい、という考えと、それに対する身体の反応には悪くないものを感じていて、しかし成績の形でそれを表す部分に、それを妨げるものを手の打てないままずらりと放置している、という具合である。
手間はかかるけれど、ひとつひとつ片付ければいいだけ、という風に感じていて、途方にくれたり落ち込んだり悔しく感じたり、ということはあまりない。
ひどいスコアの割には、サバサバした気分でさっさと片付ける。


他の選手も全般にひどく成績が低調で、会場は少し変に緩んだような空気が流れていた。
なんだかすごく疲れた。


[fin]