腕時計


先週のことだ。
朝、「腕時計がない」と、バタバタ探しながら家を出た。
その日の夜、帰ってきてみると、小物入れの前に、相方のと私のと腕時計が3つ出して積んであった。


私が出かけた後、
「パパ、時計ないって言ってたけど、ここにあんでー。」
と椅子に登って、小物入れの抽斗を開け、出していたという。


子どもというのは、このくらい小さくてもさりげなくよく話を聞いているものだし、自分に直接関係ないものでも、誰がどこに何を置いているか、結構よく見ている。
この間は、相方の実家で義母が、保育園でよく着ている娘の水着にできていたほつれを見つけて「縫っといてあげよう」と縫い直してくださったのだが、それを聞きつけたらしい娘が、どこからかはさみを出してきて「はい」と手渡したので、ずいぶん驚かれていた。


うーん。
迂闊なことは言えないなあ、と思う。


ちなみに、私が探していた腕時計は、そこに置いてあったのとは違うものだったのだけれど、それはその日、職場に着いてカバンの底を探るとあっさり発見されて、朝のドタバタはただ家を騒がせただけだった、という、まあ割とよくある困った結末だった。


[fin]