舟の折り紙

ふねのおりがみ



朝、一緒に起きて、朝ごはんの用意を娘と二人でする。
お箸を運んでもらったり、お茶碗を持っていってもらったりする。


この二日ほど、ずいぶん朝の機嫌がいい。
先に豆とかつお節の乗っかったご飯を頬張り、肉や魚や豆腐なんかの入ったお皿と、煮野菜の入ったお皿を行ったり来たりして、野菜だけ残したりせずに、ちゃんと全部食べる。


ここのところ、なかなかすんなりとは全部食べず、私たちにいろいろ駆け引きを仕掛けて、野菜は一緒に半分こにして一緒に付き合って食べないとダメだったりすることの方が多いから、ちょっと珍しい。
「おかわり」の連発で、お腹を心配した時期は、もう過ぎて久しい。


弁当などの用意を済ませて、私が食卓に着くころにはあらかた食べ終わっていた。
今日は時間に余裕があったので、歯磨きに付き合った後、遊んで待っててね、と解放する。


食べながら見ていると、せっせと折り紙を折っては糊をつけ、貼りあわせたりしている。
ちょっと時期的には早かったのだけれど、かわいらしい容器に入った糊を使いたがって、少し前に義父に買ってもらった。
やたらたくさんの量を一回で使ってしまったり、いろんなところにつけてしまったり、ということをやらかしては、相方を悩ませたのだけれど、このところ無茶な使い方をしなくなった。


「できたでー」と「作品」を持ってきてくれる。
「これはなあに?」
と尋ねると、
「おっきいふね、みんな乗れるねん」
という。
なるほど、舟らしい形をしている。折り目はしっかりしているし、ネーミングもそれらしくて大したものだなあ、と感心して横に置き、私自身の出かける準備をする。


「じゃあ、先に行ってくるよ」
と声をかけると、
「ちゃんとふね持っていっときやー」
と言う。
いっちょまえで、なかなか気前もいい。言うこと、すること、どこかコミカルで可笑しい。


「おー、忘れてた忘れてた、ありがとう」とかばんに入れて職場に持って行った。
抽斗に大事にしまっておく。
こんな時期もあったなあと、きっといつか懐かしく思い出すのだろう。


[fin]