近畿団体戦


朝は、早めに出て和歌山を目指す。
昨日まではいい天気だったのに、今朝は生憎の雨模様。
隠れるところの少ない、野原の射場にはなかなか厳しい天候だ。


たぶんそうだろう、とは思っていたけれど、この試合には不釣合いな、フォローアップまで含めたフルコースの銃器用具検査が待っていた。
10mの射屋から、野原と階段を横切って検査会場まで、雨に濡れないように幾度にも分けて往復する。


手動交換機の屋外射場。
原点帰りの10m射撃だ。


前回に整理を始めた、2軸の内的なバランスについてさらに進める。
軸の長さを同じに感じると、コントロールが難しかったが、銃側の軸は短く捉えても支障がなく、その方が左肩の悪い干渉を除く上でも利点が多いことがわかる。


実は、国体の二次予選の伏射で感じた目の使い方が、先日読んだ「日本辺境論」の「敵を作らず」や「前駆的に知る」と通じていることに気付いて、どきどきして臨んだ。
「前駆的」ということばに惑わされて、注意を置くポイントが撃発より「前」にずれてくると、「予測」みたいになってうまくないのだが、フォロースルーの中心的な要素として行えたときには、予想通り見事に嵌ることが確かめられて、ちょっと悦に入る。
ダメなパフォーマンスに陥っていくときに、共通して生じている、ということに最近気付いた「目」の問題について、こちらから働きかけている実感を持てたのはほぼ初めてである。
メンタルとも関わりが深く、これはとても面白いし、まだ考えたり練習したりしたいことがたくさんある。


左手で標的を挿したり、交換機をくるくる回したり、雨があったりと、久しぶりに「忙しい」射撃をやって、楽しかった。
点数的には、うっかり8点を2回もやらかしたりして伸び悩んだが、100も出たし、まずまずの585だった。
とりあえずこの大会を、今年も優勝することができた。


10mは男女混合で1射群やってしまうと、おしまい。
ということで、ここが雨宿りのメイン会場となる。
机や椅子を必要に応じてならべて、昼食と談話のスペースに早変わりする。


50m伏射を1射群で撃ち終えたS会長を囲んで、今年も新しく加わった会員や、13年ぶりに射撃に戻ってきたKくんたちとなごやかに話す。
この試合は、1年のうちで最も、クラブ員とのんびりといろいろ話ができる貴重な機会である。


Kくんは、本当に大学卒業以来の復帰で、その当時とどこが変わっているかを改めて探すだけでなかなか面白い。
13年も間をおいて、いきなり自己ベストに近い560点台半ばを撃ってしまうのだから、大したものだ。
弱小チームだったとは言え、1年からレギュラーを張っただけのことはある。


伏射は、前回撃った国体二次予選で、かなり確実に掴めた手応えがあったのだけれど、どうも甘くない。
平面的に、銃と頭を身体に対して一定の位置に保つことは「軸」の意識でおおよそできるようになっていたが、的−射座方向の力の処理について右肩をどうコントロールするかに、オプションがいっぱい出てきてしまい、前半はぱらぱらとたくさん外してしまう。
このコントロールを主題にやっていたときには、極端な方法を取ると崩れてしまう、という矛盾との格闘があったのだけれど、軸意識のおかげで平面的には一定になったのと組み合わせると、的側に押さないようにする制御を徹底しても崩れずにそれなりに撃てることがわかった。


試合中に試しながらやっているので、鉛直方向にはフォームが結構むちゃくちゃに乱れたのだけれど構わずに撃たざるを得ない。それでも98 99 100と成果は感じながら撃ち終えた。
「ちゃんとしたもの」にするには、もう一回くらい調整が必要な状態だが、収穫あり、で楽しかった。
トータルのスコアは586。


結構な激戦で、587が3人、586が2人。私は4位だった。
この上位5人のうち4人がうちのチームだった。和気藹々としながらも、層の厚いことを実感する。
三姿勢も、Nさんが556と大幅に自己新を更新したり、とチームとしてちょっとした活気があってなかなかいい感じだ。


[fin]