西日本春季AR・SB大会

モニタのついたファイナルレンジ



昨夕からの雨は、本格的に降り続いている。
早く起きても、一歩も外には出られない。


朝食後、雨に打たれながら荷物を積み込んで宿を後にした。
8時前に会場に着くと、もうたくさんの人が集まっていた。


9時から10mS60、11時45分から50mP60Mというスケジュールだ。
いざ、試合の準備を射座で始めてみて、10m用のリアサイトを忘れてきたことに気がついた。
50mの全日本選抜で作った荷物をベースにしたためのうっかりである。


やれやれ、府民体育大会と立て続けで大きな荷物の準備ミスである。情けなや。
50mのサイトセットはあるし、今日は50mは伏射しか撃たないわけだから、自前の道具で何とかなるが、今日は国内でも数少ない10mの電子標的である。
サイトが合っていなくて、弾着が黒点を外れた場合、試合中ずっとその弾痕と「おつきあい」せねばならない。


エアライフルは、銃身の後ろを開放できないので、サイトを外的に調整するボアサイトは、基本的にできない。
・・・困った。


仕方がないので、50mの立射用のサイトをとりつけて、銃身の真後ろあたりに目線を合わせて銃を固定し、それなりの擬似的なボアサイトをやってみる。
たいして横方向にはずれないと思うのだが、照準線と銃身軸との関係は、標的までの距離といい、使用しているハイサイトセットの違いといいあまり似通っているとは思えない。


おどおどしながら試射の1発目を撃つことになった。
・・・「2点」。
だめだった。やはり縦方向にずれが大きく、上に大きく外れてしまった。
多少幸いだったのは、黒点の縁にかからず独立した弾痕になったことか。
しかし、この黒子のような穴とこの試合中お付き合いせねばならなくなってしまった。


まあ、問題はこの弾痕そのものよりも、(当人はそのとき落ち着いているつもりだったが)1発目が黒点に入るかどうかに気を取られて、動揺した状態でプレパレーションをせざるをえなかったことだった。
バランスや静止、撃発、いずれもいまひとつだったのは気がついていたので、丁寧に試射に時間をかけて、いつもと同じ状態に近づくまで待とうとしたがダメだった。
9があちらこちらに出て、微妙に外れることが続き、95 96と、どうしようもない滑り出しとなってしまう。
スコア以前に、国体最終予選としても厳しい展開であることを感じた。


動揺が最もよく現われるのは「目」である。
ここを押さえるしかない、と撃発前後の銃の動きに食いつくようにして広い意味でのフォロースルーを立て直すところに全力を傾けることにした。
なんとか10点に弾着が噛むようになり、99 99と持ち直す。
このまま最後まで行けそうに思ったが、S5で再びドリフティングがあって9が続くのを食い止められず94と万事休す…。
最終98で581と、最後まで投げずに撃ちきったが、ひどいスコアで終わった。


大阪の予選会場にいる選手強化部長の携帯留守電に成績を吹き込んで、50mの準備をする。
今年は10mでは出られないことを覚悟する。


50mの会場の外では、雨があいかわらず激しく降っていた。
伏射も、どうもおかしかった。
スタートから10点が続いたのだが、違和感のないパフォーマンスから突然8点が出て、その後9.7-9.9のオンパレードになる。
はじめの2シリーズで大きく失点し、途中99や98を挟んで持ち直すかに見えたが、結局10mとよく似た得点分布で同じ581という、やはり目も当てられない結果に終わる。
ぐにゃぐにゃと、構造的にまだあやふやな余地があちらこちらに残っていることを痛感。
何かを変える、というのでなく、よくなっていると思う今の構造の、まだよくわかっていない組み立てポイントをしっかり洗い出して、再現をスムーズに行えるようにする努力が必要だと思われる。


この大会でも決勝に残れなかったか、とその点はちょっとがっかりした。
ファイナルレンジには、射手の顔をスタンドに向けて大写しするカメラとディスプレイが新設されていて、その性能の高さに感心した。
このスタンドは、ミュンヘンなどのワールドカップ会場と比べても見劣りしないと思う。立派な設備である。
今年またこの会場に戻ってくるときには、久しぶりに上位を争えるような状態にしておきたいものである。


・・・代替予選でもあった今日の試合、大阪の結果がSさんの携帯にメールで入った。
大阪の方の成績もきわめて低調だったようで、なんとか今年も代表に内定した。


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