アドバンスワークショップin同志社


スポーツハウスの朝は、なんだか早い。
ラグビー部だろうか、男たちの野太い挨拶の声がにぎやかに窓の外から聞こえてきて、びっくりして起きたら、まだ5時半だった。
昨晩、久々に学生連盟のコーチ陣が集まったので少し遅くまで話し込んでいたこともあり、ちょっとまだ眠い。


いつもより高い枕だったせいか肩がバリバリに凝っており、さらには嫌な夢ばかり見て、あまり気持ちのいい寝覚めではない。先週の東京に続いて2度目であるし、今回は地元・ホームだから少し気楽かと思っていたのだが、やはり結構プレッシャーを感じている自分に気がつく。
先週は自分の講演をどう話すかだけで済んだが、今日は「ホスト役」として司会進行もせねばならないのが、結構重い。


同じく講演するIくん、Sくんにしても、2回目だから気楽、ということはないようで、内心相当に緊張感を抱えている様子が伺える。彼らにすれば、関西は勝手があまりわからないアウェーだから、なおのことなのだろう。


朝食は、Hさんが、朝から学生と一緒に近くの弁当屋へ取りに行ってきてくださった。
いつも合宿で使っている店だそうだが、営業時間より早い時間に、このためだけにお願いして開けてもらったようだ。
ありがたくいただいて、講演が始まる10時まで、同志社の施設を見学がてら、少し歩いてから、会場入りする。


会場は、ラウンジ棟という、体育施設の管理課がある建物の、2階を使わせてもらっている。
もともとはもう一部屋を使って、対象ごとに分けて講演する計画だったのだが、指導者対象の技術やフィジカルの講演を選手たちも自分で聞くことに意味があるし、選手向けに行う、オリエンテーション的な内容を、指導者も一緒に聞く、ということにも意味がある、ということになり、少し椅子を足して、参加者105人全員を定員が90人の一部屋に集めて行うことにした。
ぎちぎちになってしまうのではないか、と少し心配したが、スペース的には、まだ十分余裕があった。


前に出ると、選手も指導者層も見知った顔ばかりなのだが、東京でのときと違って、指導者層が多いのが決定的に違う。講演者の紹介から始めたが、割り当てられた内容を話す、というのと違って、この集まり自体の意義や責任を一手に引き受けるような感じがする進行役の任にはとても緊張した。


演壇をIくんに明け渡して、今回も後ろの席で全体を見守った。
わずか1週間しか空いていないのだが、すっかり暖かくなり、窓から見える同志社のキャンパスは重厚な建物に新緑が光ってとても美しい。
アメリカンフットボールや野球、ラグビーなどの試合が行われていたようだが、道を通る人はみななにかしらスポーツに関わりのある様子で賑々しく、休日らしい空気がどことなく会場内にも漂ってくる感じがした。


東京では、ややSくんの発表が時間的に窮屈になったので、少しプログラムを組み替えて、Sくんの分は午前にアンチドーピング・午後にフィジカル、と割り振ってみた。フィジカルは、天気にも恵まれて、外の広場を使ってのびのびとやる。
どうしても、実技などに割ける時間は限られていて、ここを楽しみにしている人には物足りなく感じられたりしたようだけれど、今年一回きりにするよりは、今後もより深めたり広げたりして、継続できる余地があるほうがいいんじゃないか、と思っている。


最後の、私が担当する部分については、NTCと同じように行うことができた。
関東でよりも、選手たちに対して遠慮が少なくてすんだり、指導者の人たちにも踏み込んで物を言いやすく感じる分、熱を帯びていたかもしれない。
1時間きっちりで、各テーマについて思い切り語ったのだけれど、その直後に、今回のアドバンスを締めくくる挨拶もしなければならなかったのは、ちょっと参った。


ちょっと時間を置くと出てくる、「調子に乗ってしゃべりすぎだな」という後ろめたさに、また少し苛まれているけれど、「評価」や「評判」はどのみち1-2週間もすれば、なんとなくいろいろなところから耳に入ってくるだろう。
反省はそのときにすればいいや、と開き直る。
成り行きですることになり、するとなってからは、どんなことになるのか手探りで始めて、相当な不安と緊張を経て、ひとまずなんとかやり終えた。


Iくん、Sくんお疲れ様でした。
関西では、会場を用意してくださったHさんはじめ、同志社のみなさん、そして関東のNTC会場も含め、全体の手配や首尾を整えていただいたHさんや学連の皆さんにも深く感謝します。


[fin]