アドバンスワークショップ in NTC

NTCの通路



家からだと始発に乗っても間に合わない今日の開演時間だったが、施設内に宿泊していると随分と余裕がある。
朝食を摂った後部屋に戻り、ワイヤレスLANの恩恵を被りながら発表内容の裏づけをネットで少し補強しながら、ノートにメモを書きとめる。


Iくん、Sくんが当たり前のようにパワーポイントを準備してきたのに対して、私は、聴衆の層や反応を確かめながら内容を調整したいがために、いつものようにホワイトボードを使って話すつもりでいた。


プロジェクト関係者だけで、NTC2階のラウンジコーナーでミーティングをしてから、会場入りした。
すでに、かなりの参加者で会場はごった返しつつあった。
今回のワークショップは、4つの講演の内容中、純粋に選手向けは、私が担当する最後の1つだけで、「指導者向け」の色合いを強くしてあったのだが、世界学生に出場したい者は、このワークショップ受講を義務付ける、としたために、数的にはすっかり選手主体という感じになってしまったようだ。


会場に入ってみると、定員60人の部屋2つの間にある壁を取っ払って、120人が入るようにした、という構造だった。それぞれの部屋のスクリーンに同じ映像が映るようにセットされていて、二つの部屋の境界辺りで話すような仕組みになっている。
それぞれの部屋の壁に大きなホワイトボードがあるものの、これでは使い物にならない。
パワーポイントがないとだめだな、と観念し、急遽後ろの席で、IくんやSくんの講演を聴きながら作ることにする。


100名を超える申し込みがあり、会場はすっかり公式ジャージやスーツの学生や指導者で埋まる大盛況だった。
Iくんは相当に緊張している様子だったけれど、なんとか2時間話しきった。
後ろで、JOCコーチのSさんやKさんとちょこちょこ話しをしながら、作業を必死で進める。


今日は、センター各所でいろいろな取り組みが行われているようで、お昼の休憩時のカフェは大変な賑わいだった。
伊達公子さんがテニスの関係者と思しき人たちと間近のテーブルに着かれるのに遭遇し、うわー、と内心とっても感激した。


午後のSくんは、これまでの合宿での講義とは打って変わった、落ち着いた様子でフィジカルトレーニングの方法やアンチドーピングについて講義していた。
私のプレゼンテーション作成作業もなんとか、S君の講演中に片付いた。しゃべる前に「やれやれ」と、すでにすっかり一仕事が終わったような気分で、ぐったりと出番を待つ。


10分押しでスタートしたが、前に立ってしまえば、いつもの仕事とそうは変わらない。
普段はない、パワーポイントなんてツールの助けまであって、進行は楽チンだった。
割り当てられたテーマが、「選手としての生活全般のあり方」、「練習の取り組み方」、「反省の仕方」、「目標の設定」、「試合結果の分析」、「その対策の指導」と、ずいぶん欲張ったものなので、そうそういつものように参加者を当ててしゃべらせたり、なんてことは元々無理だった。パワーポイントを使うことになったのは、結果的には大正解だったように思う。
(ちなみに、1時間の枠なのに、こんな盛りだくさんな内容になったのは、「ワークショップをするならこういう内容が関係ありそうだな」と、下書きしたメモがそのまま要項になってしまったせいである)


1時間、ぶわっと言いたいことを一気にまくし立てて、まあ、うまくまとめることができた。調子に乗ってしゃべりすぎたかな、という不安は、いつもと同じであるが、参加者の顔色や反応からすると、まずまずうまくいったかな、と思う。
来週は、関西でもう1ラウンドやらないといけない。
Sさんに赤羽まで送ってもらって、なんとなく喋りまくった興奮と疲れを引きずりながら列車のシートに身を沈めた。


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