公園三昧


珍しく、特別な用事がなくて、家で過ごせる休日となった。
そうなると、子どもが主役の一日になる。
振り返ってみると、今日は、公園三昧、という感じになった。


朝は朝食後、気がつくと相方と娘は近所の小さな公園へ散歩に出かけていた。
昼前に実家を出て、昼食は家で、と思っていたのだけれど、あんまりいい天気なので帰り道に竹取公園へ遠回りしてみた。


前回行った時には、雨上がりだったのでやってなかったちびっ子ゲレンデが、今日は開場していて、娘は「勝手はわかってる」とばかりに、自分でさっとヘルメットとそりを取って上っていった。
前回と同じように、私も一緒に上まで上ったのだけれど、
「どう?ひとりで滑ってみない?」
と持ちかけてみた。
他の子が滑る様子を見て、少し考えている様子だった。
私は座り方を正してやり、下で待っている相方と手を振りあいながら、
「じゃあ、行ってみよか」
と、そっと送り出した。


緊張している様子だったけれど、大してスピードも出ず、無事にすっと滑り終えた。
1回滑ってしまうと、「大丈夫だ」と自信がついて面白くなったようで、明らかにさっきと違う張り切り方でゲレンデを上って行く。
あっという間に3回滑ってしまった。


もっと滑りたそうだったけれど、ゲレンデのルールでは一人3回まで。説得しながら少し、無理やりゲレンデを出る。
あまり引きずらないのが娘のいいところで、外のグラウンドに出たとたん、その広さがうれしくなって、あはは、と笑いながら駆け出していた。


フィールドアスレチックにある大きな滑り台を2回も滑ると、すっかりお昼ご飯の時間になってしまった。
実家で分けてもらったおかずを車へ取りにいって、娘だけ急遽、「お弁当」にする。
これできっと、帰りの車で寝ちゃうだろうな、と思っていたら、ご機嫌に歌いまくって寝ることなく家に着いた。
あらら、これはお昼寝しないのかな、と心配していると、ころんと寝てしまった。


なかなか自在にのびのびと生きてるなあ、と寝顔を見ながら感心してしまう。
相方が買い物に出ている間に起き出した娘は、またまた元気いっぱいだ。
私も外の用事があったので、ふたたび相方の帰宅を待って、娘を連れて出かけることにした。


クリーニング屋に立ち寄って、銀行へと足を伸ばし、さらに腕時計のバンド長を調整してもらいに時計屋に行った。
用事が済んだので、娘待望の「白いパン屋さん」こと、ミスター・ムシパンに行って、豆蒸しパンを買い、河川敷の公園に向かった。
「ミスター・ムシパン−自販機で小さなパックの牛乳−河川敷の公園のうさぎさんのところ」、というルートは、娘にとって休日最大の「お楽しみ定番ルート」らしい。私ははじめてそのルートにお供させてもらって、娘に、
「ここがパン屋さんやで」
と教えてもらったりなんかして、「ふーん」とちょっとわざとらしく納得したりしながらついていった。


川の風に当たりながら、三人で蒸しパンを分けて楽しく食べた。
その後、少し遊ぶ、という娘には相方がつきあって、私は夕飯の支度をしに先に家に戻った。


小さい子がいると、それまではすっかり縁が薄かった「近所のお店」や「公園」が、急に間近になる。
すると、子ども時代を過ごしたわけではなかったこの場所に、「住んでいる」という手ごたえができてきた。
子ども時代を過ごした場所を離れて生活していると、寝に帰る場所はあるけれど、なんとなく「地元」はない、というような具合になる。
ここが私の地元なんだなあ、という実感のようなものができるのは久しぶりのように思う。


[fin]