お花見と50m三姿勢

桜の下で



今日は午前中、50m射場を10mに転用してピストル種目が行われる関係で、出番は2時前。
この分だと、11時ぐらいにお昼を食べる娘と一緒に食べて出られるな、と昨日から見当をつけていた。


この週末はちょうど花見日和で、桜は満開一歩手前、といったところだ。
娘は昨日、父や姪っ子たちと近所の公園に遊びに行って、すでに桜を満喫したらしい。
今日も、せっかくだから、と7時までに終わった朝ごはんの後、親子3人で、近くの弁天さんまで桜を観にでかけた。


晴れ渡った空の下、日も暖かで、まだ人出もまばらな広大な弁天さんは、そこここに桜が咲いていてとても気持ちよかった。
ぴかぴかの大きなお堂の方へ、低い石段をせっせと登る娘につられて一緒に上ると、娘は突然狛犬を指して
「このわんわんは『あ』って言ってるねん」、「あっちは『ん』って言ってるねんでー」
と言い出すので、
「えー?なんでそんなの知ってるの?」
と思わず素で尋ねてしまった。
確かに指を指したとおり、阿吽の口の形は合っている。
相方によると義父が昨日、説明したらしい。


娘は得意げにお堂の中に入ると、しばらく手を合わせて、それから意気揚々とお堂の石段をもと来た方へと降りていく。
どうするのかな、と少し間をおいてついていくと、社務所の入り口の売店で、店員の女性に愛想を振りまいた後、横のアイスクリームの自販機の前で動かなくなった。
本当に、することがいちいち可笑しい。
ほいほい、と声をかけて、たくさんの柱でちょっとかくれんぼのようなことをしながら外に誘い出し、ふたたび一緒に桜見物にもどる。


しばらく、散歩したり写真を撮ったりして家に戻った。


予定通り一緒に早めのお昼をいただいて、私は試合に向かう。
今日も、試合会場はにぎやかだった。


50mは、先々週のランクリストが昨年11月の試合以来のぶっつけで、昨日の伏射、今日の三姿勢、となる。
昨日の伏射の好感触のほかは、先々週の射撃ノートだけが頼り、である。
まあ、Pはなんとかなるだろう。Sは、据銃の部分はある程度したいことが明確だし、静止レベルは相当に上がっているのだけれど、それが撃発と着弾にうまく結びついていないような感じが濃厚だ。Kは先々週の試合中にガチャガチャと調整した続きが、もうちょっとでしっくり来そうな感触があるので、そこを楽しみにする。


三姿勢の伏射は、撃ち込んでいなくて風のことなどにぱっと反応する、というわけに行かず、いろいろ考えて何とか対応している身には、時間制限が結構堪える。
相変わらず今日も、風は荒れ模様で、風旗はあっちを向いたりこっちを向いたりだが、風の質は昨日より軽そうに見えたので、前日よりはパッパッと判断を早めに切り上げて撃っていく。
しかし、そうして撃っていくと2シリーズ目は、ちょっとずつ外れることが続出して96。早いイコール読みの不正確になってるな、と痛感。ここまではまずまず早く進んだので、仕方なく残りの時間はしっかり使う覚悟で、前日のように撃つ。次で100と持ち直し、最終的には393。
この水準は、頭で持ってこれるけれど、ここから上は、さすがに少し練習が必要だな、と感じる。


立射は、戦前の予想通り。ただ、プレパレーションの、いわゆる撃つ前にとってチェックしている姿勢と、実際の射撃が始まってからの姿勢にずれが出ていて(今回の場合は、射撃前のがおかしかった)、自然狙点が大きく右に変わっていることに気づかず撃ってしまう、という相当に初歩的な失敗をやらかして、2シリーズ目で88なんか出したものだから、結構苦しくなった。その後も、どうもOKと思うものが次々微妙に9.5くらいに外れることが続き、スコア的にはずーっと伸び悩んだ感じで40発が終わった。365。


膝射は、前回の反省が生きた。ただ、問題もひとつ明確になって、そこは明らかに今後少し考えなくては解決できない、という感じでそのままにせざるを得なかったので、そこが気になって落ち着かなかった。バランスの観点から取りたいと思う首の形と、全身の筋緊張のコントロール的に取りたい上背−顎の形に矛盾があるのだ。ひとまずはバランスを優先せざるを得ない。
じりじりと95前後を行ったりきたり、という程度で、最終弾を8に外してしまう、というやってはいけない終わり方で379。トータル1137だった。


あーあ。やっぱりこのくらいだなぁ、というのが終わってみての感想である。
立射の点数からみれば、ちょっと前なら意気阻喪してもう少し悪くなるパターンかもしれない。スコア的には伏射が形になったことの効果は大きいし、昨シーズンまでに徐々に10mでつくりあげてきた、1発1発のパフォーマンスで完結する評価・集中と、試合全体でモードを維持するのを組み合わせる「構え」のようなものは実ってきている気がして、「納得」という感じも強かった。
昨日、10mS60で、596を出して、エアーの方は相当に復調してきたMくんが、どのくらい出してくるかな、と楽しみにしていたのだけれど、どうもまだ新しくしたSBとの感覚的なフィッティングが進んでいないようで1130だった。


「練習」的なニュアンスが強くて臨んだ試合だったが、2つも優勝が転がり込んでくる結果になり、とてもうれしかった。
しばらくの間、近畿レベルではこういうのは当たり前にあったことなのだけれど、なんだか相当に久しぶりな感じがする。
ここ2年くらい、少し悲壮感も伴いながら、10mだけに勝負を限るようにしていたのだけれど、それが射撃をする楽しさ自体もずいぶん制限してしまっていたのかな、と思った

素直に、あれこれ考えて一生懸命撃つことの楽しさを、オープンエアの射撃はたくさん教えてくれる。


急にたくさん練習できるようになったり、トレーニングができるようになったり、体調を整えやすくなったりするわけではないけれど、ちがった心持ちで今シーズンの射撃は楽しんでいけそうな気がする。


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