帰路

仙台空港



今日は、ピストルと女子種目。


何もなければさっさと関西に帰るところであるが、指導者的な役割もしている関係で、そうもいかない。女子の戦況を一通り見て、要所要所で質問を受けたり、アドバイスしたり、ということをしに、今日も1射群の途中から会場に入った。


昼過ぎで帰るつもりにしていたのだけれど、次々声をかけられたり、相談に乗ったりしていると、あれよあれよという間に最終射群になってしまった。
「帰りの飛行機は、夕方に取ったから、余裕たっぷり、寄り道なんかもできるかしら」くらいに思っていたのだけれどとんでもない。
「ぎりぎりになるかも知れないから、決勝まで観るのはやめた方がいい」ということもわかっていたのに、結局決勝が終わるところまで立ち会って、会場を飛び出すことになった。


それでも、石巻から仙台まですんなりと走れれば、まったく問題がないはずだった。
ところが意外に渋滞が多く、どこも車がすんなり流れない。
混んでいないところでも、どの車も運転がどこかしらのんびりしているように感じられて、時間がじりじり減っていくとイライラしてきた。


レンタカーは満タン給油で返却するのだが、空港近くまで戻ってくると、ガソリンスタンドがない。
飛行機の出発前1時間を切ってから、ガソリンスタンドを求めて遠回りする、という最悪な状況に陥る。
あせるほどに、行動もおかしくなってきて、余計に時間を取る。
ようやく見つけたセルフの給油所へ飛び込み、給油後も車を飛ばして、ようやくレンタカーのサービスステーションに駆け込む。
「飛行機に間に合わないから」、と返却点検を急かし、空港までの車もすぐに出してもらう。


手荷物検査のところに着いたのは、出発30分前を切ろうかというところだったが、ちゃんと銃を預かる手続きをしてもらえて、大きく息をつく。
やれやれと、手荷物検査場で並んでいると、ゲート間際で空港全体が激しく揺れた。
かなり大きな地震である。
ガラスが嫌な音を立て、売店では積んであるものが落ちたりしている。
どうにもできないで、頭上だけ確かめて立ち尽くす。
大事にはならずに、揺れは収まった。


プロペラではなかったけれど、帰りもやはり小さな飛行機で、行きと同様、飛び立った記憶の次の瞬間には、着陸直前だった。
何だかとても疲れた。


[fin]