関西学連選手強化合宿

練習風景



直前の募集対象変更に飛びついてくる学生はほとんどなく、わずかに1名を加えて、選手としての参加者は4名、スタッフを兼ねた参加者が2名、コーチ2名、という編成となった。


わずか2日間の小合宿であるが、滋賀県の射撃場を会場に、小規模ならではの、きめ細かい合宿を目指すことにする。


支部長のHさんも来られて、スタッフとともに4月の「アドヴァンス・ワークショップ」について打ち合わせをした。


これは、学生連盟としては新しい取り組みで、全国の学生射撃関係者を対象に、指導者には指導理論について、新入生には生活・学業・競技全般にわたる「新人セミナー」を、そして、指導者・選手双方に対して、フィジカルトレーニングの理論・方法やアンチドーピングに関する講習を行おう、というものである。東京と京都の2会場でそれぞれ100人規模を見込んでおり、ここ数年学生の選手強化を担当してきた私たちコーチングスタッフが分担して講演をする。
私たちはボランティアで、参加者からも費用は取らない。
全国的な規模の取り組みは、はじめてやるとなると、会場の確保・関係者への告知など、ちょっとしたことにそれぞれ読めない部分があって、なかなか大変である。
明日、東京で行われる協会主催の審判講習会で、Hさんをはじめ関係者が顔を合わせるというので、そこで今日の内容がさらに摺り合わされるはずである。


この合宿に機を合わせるように、学生射撃において新しくピストル競技に取り組むための、様々な交渉がうまくいってないことがNさんからメールで伝えられる。また、次週に迫った、全日本学連の強化合宿についての打ち合わせを進める電話やメールも交わされる。こちらは会場の変更を決定したものの、動きは相変わらず重々しく、本当に来週末にちゃんと行えるのか不安を感じる。主体にならなければならない学生スタッフの反応が芳しくないために、中心になって今回の合宿を支えることになっているIくんは大変そうである。


さて、今回の合宿は、O君が新たにコーチとして参加するはじめての合宿になった。2Fの50mを練習する4人の選手を彼に任せることにする。私は2人の若手AR選手を担当する。
行ったり来たりすることなく、メニューや練習のポイントなどについて細かくコミュニケーションを取りながら、じっくり見られるのは大きな変化である。


大会直前ながら、ルールと抵触しかねない部分があり、早いうちにフォームの変更を伴う取り組みの必要な選手がいて、今日は、どうしたものかと射座の後でずいぶんと考えた。
結局は、本人や、OBでもあるHさんとも相談しながら、現在と大きく構造を変えずにルールに抵触する部分を根本的に解決する方法を考えてアドバイスすることにした。
これで崩してしまったらどうしよう、と内心相当に緊張していたが、感覚を巡るやりとりがとてもスムーズにできる選手で、すぐに対応して結果を出してくれたのでほっとした。


夜は、わざわざ講義室を使うまでもないので、畳の部屋に全員で集まり、今年のスケジュールについて話しながら、「強化指定」されることの実質的な意味について考えさせる。O君が用意してきてくれた、現在行われているバンクーバーオリンピックを話題にしたスポーツに関するごくごく基本的な知識を尋ねるクイズでは、思った以上に「スポーツ」それ自体に対する関心が低いことに驚かされた。
マイナーであるが故に前面に押し出されてしまっている幸い、というものを素直に認めつつ、そこに安坐するのではなく、後付けの努力でその僥倖分を埋め合わせる誠実さが僕らには必要だ、というような話をする。
日中に受けた反動についての質問に対して、i-Podに入れてあった射撃技術についての映像を見せたり、フィジカルトレーニングのメニューを実演してみせるうちに、全員で1サイクルすることになってしまったり、と小規模ならではの親密さで、とても充実したミーティングになった。


人数こそ多くはないが、今回関わった彼らにはこれを機に、関西を牽引する、さらに強い選手に育ってほしいものである。


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