独楽回し

独楽を回す



保育園から1歳のクラスの子どもたちに、クリスマスに贈られたプレゼントは、少し大きな木の独楽だった。
白木の素材にきれいな着色がしてあって、娘はとても喜んでいた。


でも、それを回すのはとても無理そうであった。
両手に軸を挟んでは、「ぽん」、「ぽん」と投げ出して、回すしぐさは真似るけれど、ころころり、ころころりと転がるばかり。
でも、それでもプレゼントしてもらったうれしさと、その新しい行為のおもしろさで、娘は作ってもらった小袋にその独楽を大事に入れて、保育園から持ち帰り、また朝には「もって行かなきゃ」と玄関に用意して、欠かさず持っていった。


おじいちゃんおばあちゃんなどが来たときに見せるほかは、それほど取り出してみる様子も、このごろはなくなっていたので、私たちは少し忘れかけていたのだけれど、この間、相方が保育園に迎えに行ったときに、同じクラスの子が独楽を回しているのに出くわした。
「あら、じょうずねえ」と褒めていると、娘も自分の独楽を持ってきて、何気なく横で回して見せたのだそうだ。


話を聞いて、これにはびっくりした。
早速、やって見せてもらう。
同じように、軸を両手に挟んで、ぽんと前に投げ出すのだが、ちゃんと手が擦れていて、ことんと落ちた独楽は、そこでバランスを保って回っている。
あらためて心底驚いた。
全く無理そうだ、と思った先月の動きと、さして変わるところがないのに、ちょっとした力の加減で回せている。
できるようになるのだなあ、成長ってすごいなあ、と思う。


娘は、こういうことって、褒めてもらえることなのか、と今回はじめてピンと来たようである。
得意げに何度も回してくれた。
幾度見ても、驚きは色褪せることがなかった。


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