小林繁

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小林繁氏が急死した、とネットのニュースで見て、え!まだ若いのでは・・・と思った。


本当に急な死だったようで、前日まで打ち合わせをしていたというファイターズの梨田監督の呆然とした表情と、因縁ある江川氏の憔悴しきった表情が、その受け止めきれない突然さをを物語っていた。


地元意識が少しずつ出来てきて、巨人と阪神とを行ったりきたりしていたチビっ子だったわたしは、王貞治選手が引退したのを契機に阪神を応援するようになったのだけれど、当時の阪神は子供心に、どうもピリッとしなかった。
なんだか野手はみんなやや太めで走れず、ピッチャーはみなハートが弱くて勝負どころでよく打たれた。


でも小林選手が投げるときだけは、違った。阪神の冴えないところを指摘してくる、巨人ファンの友達にも大きな顔が出来る感じがした。味方打線は大した援護はできず、孤軍奮闘している印象も強かったけれど、小林選手が投げるときだけは、なんだかいい試合になることが多いような気がした。
すらりと細く、子どもたちが真っ先に物まねする選手の一人だったほど、印象的な変則な投げ方なのに、闘志に満ちた真っ向勝負の印象で、当時比較的多かったサイドスローアンダースローの投手たちの中で明らかに異彩を放ち、めちゃくちゃかっこよかった。


空白の一日のことは、リアルタイムではよく知らない。
そういった経緯があって、ひときわ一目置かれ、熱烈なファンが多かったのだということは、私自身がある程度大きくなるまで、何となくしかわかっていなかった。


番組の追悼の中で詳しくそのときのことが、伝えられるのを改めて見て、大人の目線から見ても、重い運命を背負ってなかなか言えないことを言い、出来ないことをしてきた人なのだな、と改めて驚く。もし小林氏が、あのように「大人」な選手でなかったらどうなっていたか、ということを考えるとともに、どのくらいの選手があの立場で、ああいう行動ができ、その後の活躍をもなしえるか、と思うと、実に稀有な人を失ったと思う。


ご冥福をお祈りします。


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