関西学連秋季SB合宿


今年度中に新しくスモールボアライフルの許可を取得して新しく50m種目に取り組み始めた射手を対象に、学生連盟が開催した1泊2日の合宿に、指導者として招かれた。
直前に予定していた射撃場が、試合とバッティングして変更になったりしたが、結果的には能勢に8人の選手を集めて行われた。


射撃場ではSB種目に取り組むに当たって注意すべきことについて話しながら、はじめに伏射、午後の最初に膝射を実演解説し、各射手を個別に見て回る。


私は、指導者である手前、練習するわけにはいかないが、実演用に弾薬を除いてフル装備を用意して臨み、姿勢の説明のときには密かに、前回の試合で気がついた「ローサイト」でしっくり構えられる可能性を確認した。
予測はばっちりで、思い描いていた通りの感触で、見事にフィットした構え心地だった。
結果的にものすごくシンプルで、スタンダードライフルでも容易に再現できるようなセッティングに落ち着いた。ある程度突き詰められた寸法なり形なりが昔のものにはあるのだなあ、と15年あまりの試行錯誤がたどり着いた、あまりにもそっけない今回の「結論」である自分の銃を見て、力の抜けるような感じがした。


まだ冬はこれからで、寒さも本番には程遠いのだが、この時期でも冷え込みは結構なもので、選手たちは少し辛そうである。


伏射については、このごろ初心者のフォームを見るに当たって、右側の耳から首筋を通って肩先までの構造がとても気になる。
私自身は、伏射が苦手で姿勢構築には大変苦労してきた。自分の「プラットフォーム」になりそうな構造にたどり着いたのは、ごくごく最近のことであるが、この耳から肩先の部分が、たまたま「正解側」でスタートしていたら、こんなに苦労しなかったのではないか、と思ったりする。
ちょっと大胆ではあるが、半分くらいの人が、たまたまこの「正解側」からスタートして、「伏射が得意」と感じる射手となり、もう半分くらいの人は、「伏射は難しい」と延々と苦労を重ねることになっているのではないか。
その分かれ目になっているのは、立射ではある程度はっきりと姿を見せる、「撃発技術」や「バランス」、「筋緊張のコントロール」といった射撃の「一般的な」技術の巧拙とは異なる、「格好の作り方」としか言えないようなものである。その上に「技術」が乗っかるのだが、反対に「技術」が先にあっても、その原初的な「格好」を捕まえることの足しにはならない、という非対称性を感じる。


そのような実感があるので、こここそ指導者が手を貸して、スムーズに壁を越えられるようにしてやらねばならない、と思う。指導の方法や説明のしかたを考えているが、まだ決定的にうまく伝える方法が自分の中では確立していない。


夜は、夕食後すぐから2時間あまり、みっちり話す。
思い切って銃の手入れや道具の説明に時間を割き、練習メニューの立て方とその実行方法に絞って講義をしてみた。
選手たちは、意外なところを知らなかったりして、こちらは驚かされたり呆れさせられたりしたが、意義を感じてもらいながらにぎやかに進めることができた。
講義後は、来週に迫った関西の総会に備えて、選手強化についての報告と提案の内容を、来年度選手強化委員長になるSくんと打ち合わせをする。


自室に戻ると隣の部屋が酒宴で盛り上がっていて、ちょっと閉口したが、ここのところ寝不足気味ということもあり、耳栓を突っ込むとあっけなく眠りに落ちた。


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