ISSF NEWS 5:2009

ISSFNEWS2009_5



今号は、今月(11月)初めに届いていた。
ISSF NEWSは取り寄せるようになってもう長いが、メモ程度でも記す習慣がないときちんと読まないので、これからは、できるだけさっと目を通して、少し紹介記事風に書いてみることにする。


ISSF NEWS 5:2009

COVER PAGE

表紙は、フランチェスコ・ダニエロ(Francesco D'Aniello)。イタリア人のダブルトラップの射手。40才の警察官。本格的に国際競技会に出場するようになったのは36歳の時、というから遅咲きの選手であるが、トントン拍子にトップに駆け上がり、北京五輪で銀メダルを獲得。今年はカイロのワールドカップで金、ヨーロッパ選手権で金、世界選手権で金、とここまで主要大会すべてで優勝。この号が出た後に行われた、今年最後の大試合となったワールドカップファイナルは、4位であった。

ISSF ACTIVITIES

「Maribor - Heinola - Sydney - Wuxi - Beijing - Copenhagen - Munich」 というタイトルで8月から10月までのISSFの活動報告と11月の予定について。


1つめの記事は、8/6〜8/17にスロベニアのマリボー(Maribor)で行われたクレーの世界選手権の成功を伝える。このマリボーの射撃場は拡張を重ねて国際競技会用の射撃場としてトップクラスの施設になりつつあり、ピストルやライフル種目の会場としても整備を進める予定があるとのこと。


2つ目はフィンランドのヘイノラ(Heinola)で8/26〜30に行われた2回目のランニングターゲットの世界選手権について。ランニングターゲットがオリンピック種目から外れた後としては、初めて開催された本格的な大会であるが、この大会を維持してくれたフィンランド協会への謝辞が綴られている。参加者の減少は否めないようである。


3つ目は2010年のワールドカップ開催地として内定していたインド・ニューデリーが開催辞退したことの衝撃と、直前のこの時期ながら快くその日程通りで開催を引き受けたオーストラリア・シドニーへの感謝について書かれている。ニューデリーは英連邦大会のリハーサルとして今回のワールドカップを引き受けることになっていた。IOCが2010年中のワールドカップ大会におけるQuota Place配分に制約を付したことで、ニューデリー大会がこの配分対象試合から外れ、そのことへの反発が開催辞退の背景にあるという。


4つ目は中国ではじめて開催されることになったワールドカップ・ファイナルについて。ライフルとピストルは上海の北、車で30分ほどのところにある無錫(Wuxi)で、クレーはオリンピックで使われた北京の射撃場が会場となっている。おそらく次号はこの大会の模様が大きく取り上げられるはずである。


5つ目は10/3〜5にデンマークコペンハーゲンで行われた第121回IOC会議について。ここで2016年の五輪が東京ではなく、南米リオで開催されることに決まったことは周知の通り。ISSFとしては、すでにリオデジャネイロにはパンアメリカンゲームやワールドカップを開催した実績のある射撃場があり、少し改修をするだけで十分にオリンピックを開催できる会場が保障されているだけに、歓迎の意向を伝えている。会議の終了に際して、5項目からなる宣言「Olympic Movement in Society」が満場一致で採択されている


最後は、ドイツ・ミュンヘンで11/6〜7と8〜9にそれぞれ予定されている、本部会議とセクションごとの委員会について伝えている。

IOC CONGRESS

先の記事にある、コペンハーゲンで行われた第121回IOC会議で10/5に採択された「Olympic Movement in Society」の全文が掲載されている。

DOPING

ベータ・ブロッカーについて厳しく禁止していることを伝えている。
この物質は、神経のベータ受容体をブロックすることでアドレナリンやノルアドレナリンの感受性を低下させ、緊張を緩和させる。結果的に心拍数や血圧を低下させることになる。
WADAの禁止リストの中では、P2に分類され「一部競技での使用禁止」という位置づけになっている。すべての競技にわたって禁止されている、いわゆる「興奮剤」とは反対の効能で、プラスに作用する競技が限られているためである。
古くから流通する家庭用の医薬品に、様々に名前を変えてこの成分が含まれていることが多い。そればかりか、伝統的な調理法に用いられるハーブや郷土酒などにもこの成分が含まれていることがあり、うっかり摂取していないか、あらためてよく注意する必要がある、としている。実際、北京五輪の50mピストルで銀、10mピストルで銅を獲得しながらドーピング違反でこれらを剥奪された北朝鮮のキム・ジョンス選手は、薬物として違反物質を摂取したわけでなく、食事で食べた薬草料理に、このベータ・ブロッカー成分が含まれていたために、この憂き目に遭っている。


最後に、夏にバンコクで行われたアジア射撃連合(ASC)のアンチドーピングワークショップの様子を伝える記事がついている。

COMPETITION

今号では、マリボーで行われたクレーの世界選手権・ヘイノラで行われたランニングターゲットの世界選手権・クロアチアのオシジェクで行われたヨーロッパ選手権の模様が、詳しく紹介されている。

RESEARCH

クレー射撃のランキング・国別成績の推移などについて、統計的な分析をした記事。


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