全日本選抜・10m


ナショナルチーム選考会3日目、としての全日本選手権が、昨日から大阪で開催されている。


平日をこれ以上休んで試合に行くことが憚られて、今日土曜日に全日本選手権に併催される、全日本選抜ARにだけ出場する。
選考会も含めたこれらの大会について、エントリー自体をどうしようかと悩んでいたことを、昨日仕事をしながらふと思い出した。


新潟の屈辱的な成績は、やはり帰ってからも悔しくて、翌日代替休日で仕事がないのをいいことに、まだ新潟で発送した荷物が届かない中、古いジャケットで据銃して、フォームの再確認をした。
次の日からは、また結局仕事が終わるとくたくたで、夜に家事も終えるとフィジカルトレーニングも覚束ない有様で、結局こうでしかないのかと、競技会のときに感じる高揚感や気合だけでは、どうにもならない日常の現実を再認識する1週間になった。
昨晩も、帰宅後に洗濯物を片付け、洗い物を片付け、相方が保育園から連れ帰った娘の世話をしている横で荷物の準備をすれば、もうすっかり夜は更けていた。


それでも、寝入った娘を車に乗せて、相方と共に会場にほど近い相方の実家に向けて車を走らせる中、土曜の試合に出るならば、金曜に移動するよりも木曜に移動した方が試合前のコンディションは整えやすいのではないか、と相方が提案してくれたりするのを、その心遣いがありがたいことだと内心感動しながら、こちらにやって来た。


今朝は、8時半撃ち始め、という非常に厳しいスケジュールだった。
チームメートのSさんを6時過ぎに駅で拾って、7時過ぎに会場入り、7時半までに銃器検査を受けた。


「選考会」ではなく「大会」というだけあって、最高峰とは言え参加者はバラエティに富み、にぎやかで少し違った張りあいがある。
もはや、選考の対象としては見られにくいポジションになっており、現在の自分の「状況」についても、ある程度認識されつくしたところなので、ただ「よりよいパフォーマンスが発揮できるように頑張ろう」という気持ちで臨む。


「構え」に用いる技術が、先日の2試合目を経て、さらに整理された。ようやく視覚的なフィードバックでパフォーマンスを評価し、取捨選択するレベルにまで戻ってきた。
こういうときは撃たない、こういうときは撃つ、という初歩的なことではあるのだが、「何をしたいか」が明確にならないと、それもできないのである。
また、これも「ようやく」なのだが、したいと思うことそれ自体ではなく、その質(再現性や精度)について評価する目が出てきた。
結局、私は今回の一連の選考会を通じて、射撃技術の再構築をせっせとやっていたようなものだ。


得点的には今日も586と、大して見るべきもののない結果に終わり、片や山下選手が599を撃って注目を集めた。
10m一本に絞って私がやろうと思っていたことを、全ての種目において国内トップを維持している彼に先んじられる、という現実に直面する「おまけ」まで、今回はついたことになる。


それでも、「すべきこと」としての技術については、新しい次元で作り直せた手応えがある。
それは、ぎりぎり8位で進出した決勝の中でも確かめられた。3日間で築いたものが一瞬完成したようにすら感じた。
ファイナル特有の緊張で感覚をうまく拾えず、始めにこそいつものように失点してしまったが、その後はこれまで経験したことのない高い制御ができて、7発を10.5以上でまとめて、最終的に102.2までスコアを押し上げた。


パフォーマンスの「スタミナ」に関心を移していけるような気がしている。
やっとこれから、「練習」が始まるのかも知れない。


今日は7位、トリプルマッチのナショナルチーム選考会としては5位、という現実は甘くないが、振り返れば思ったよりも相対的に「善戦」だった。
冬のランクリストの時期に力をつけて、3月の日本選手権は頑張りたいと思う。


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