技術再建


今日、国体前最後の練習をした。
今年は、まだ耳慣れない「シルバー・ウィーク」と称される5連休となっているが、射撃場に出かけて実射する練習は今日だけになる。


相方の実家から、義父や義兄が公園に娘たちを連れて行ってくれる、というのに甘えて、今日は朝から丸1日を射撃にささげることにする。


ブロック予選・社会人選手権と立て続けに非常にまずい結果に終わっており、直前ながら技術の根幹から確認することがどうしても必要である。


また普段は練習していない10mの伏射も、直前の練習となる今回ばかりは、しっかりやって、一気に完成まで持っていっておかねばならない。
例年直前に自らに課している、きつめのメニューを、今年もまたすることにした。


練習の絶対量はどうしても足りないのだが、それでも自信を持って本番に臨むには、たとえ1日だけでも、まったく隙のない練習をすることで充実感を得ておくしかない。
朝から帰るまでの段取りを事前に組み立てて、並々ならぬ気合を持って練習に臨んだ。


ほぼ射場開場と同時に入って、伏射から早速取り掛かった。
詳細にフォームをチェックして、フィット感を確かめたら、空撃ちから始まって採点射まで含む一連のメニューを、一度も起き上がることなくやりきる。


早めの昼食を摂ったら、次は立射だ。


あらためて客観的になるよう、自らを言い聞かせて確認を進めるが、やはりバランス・静止レベルとも非常に下がっている。
直前の伏射練習による、左腕の疲れや痺れもあるが、何かが崩れている。


セッティングや方法は敢えて変更せずに、慎重に撃ってみるが、弾着はよくない。
しかし誤魔化しようもなく酷いのは幸いなのかも知れない。最近半年分のノートを見直しながら、根本的な問題から真剣に検討する。


何が起こっているのか確かめるため、一旦、立てていたメニューを中断してITをしてみることにした。
すると、どうも左半身の筋緊張について、必要量の見当が狂っている。
大雑把に言うと、自分が取ろうとしていた状態は、オーバーリラックス側に振れていることがわかった。
僅かづつだが徐々にバットプレートが下がり、ストックが伸びる傾向にあったのは、おそらくこのせいだ。


この練習が持つ意味は、知っていたし、重要であることも意識はしていたが、根本的に理解したのは今日が初めてかもしれない。
感覚を失いかけてはじめて、なにを感得し、磨こうとするものであるかがはっきりわかった気がした。


ITがおわると、セッティングが一気に半年ほど前のものにもどる。
たしかにその時は「当たって」いた。
何かがわかっていくと同時に何かが忘れられていって、変化が起きる。
感じ取り、集めていくものの方には注意が向き、分析が進むが、そのときに忘れていっているものの方は、こうして揺り戻しのような時期が来ないとわからないものだ。


一気に、技術の優先順位が変わり、懐かしさが満ちたような身体感覚で撃つ。
完全に確認するところまでは行き着けないが、ひとまず今回はこれで行こう。
そう納得して、練習を終えた。


構える練習を、何とか日常的にできるようにしなければ、と思う。


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